放射能探査は、国際航業の自社研究として実施した。従来より断層等の割れ目からラドンなどの放射線が検出されるものと考えられており、その異常値を測定することで断層位置の確認を行う目的で実施した。
A 仕様
放射能測定には、ラドンエマノメータRE−100(応用光研工業(株)社製)を使用した。ラドンエメノメータRE−100は、径1インチ長さ2インチのヨウ化ナトリウムの結晶を検出器として使用し、環境γ線のうち、カリウム及びラドン系列元素(ラドン,トロン)の崩壊生成物質であるビスマスからの放射線量をカウントできる。ビスマスからの放射線量は、内部演算処理によりラドンエマネーション(カリウムの放射線量から推定されるビスマスからの放射線量と実際の放射線量との差:通常はマイナス表示され、実際の放射線量が多い場合はプラス)として表示される。
これにより、放射平衡の不連続を把握し断層の存在を推定するものである。
今回は、調査対象となる地層が何れも堆積物起源であり、バックグラウンドとなる放射線強度が低いと考えられるため、測定項目の内ラドンエマネーション(観測されたカリウムの放射線強度から算出された放射平衡状態におけるラドン系列元素の放射線強度と、実際に観測されたラドン系列元素からの放射線強度との差)を指標とすることとした。
測線の位置は、秋葉地区及び丸山地区で、地形地質調査により想定されている断層線に直交するようにほぼ南北方向で10測線で実施した。
B 結果
放射能探査の結果、ラドンエマネーション(REF)が100カウント以上のピークを示す放射能の非平衡地点が9地点得られ、このうち8地点は、地形地質調査で推定されたF−1・F−2断層と良く一致した。逆に、断層が推定されている地点で放射能の非平衡が得られなかった地点もある。図1−3−3−10に放射能探査の結果得られた放射能の非平衡地点を示す。
放射能探査は地質構造の不連続を放射線強度の不連続により把握するものであり、推定される地質構造と測定データとの比較を行うことにより、矛盾がない場合にはモデルの信頼性を高める(矛盾が多い場合にはモデルを否定する)ものである。そのため、傍証の一つとして扱うこととした。
図1−3−3−10 放射能探査の結果得られた放射能の非平衡地点
(ラドンエマネーション(REF)100カウント以上)