岐阜県最西部に位置する関ケ原町から滋賀県東部において,この地域の地質構造を明らかにするために重力調査を行なった。
A 仕様
重力探査は、地形調査(1/25,000)範囲での広域探査、及び地質調査(1/10,000)範囲での高密度探査に分けて実施した。実施は、金沢大学理学部地学科の重力探査チームの協力を得て実施した。反射法測線R−2,R−1,岐阜/滋賀県境付近及び伊吹山南部の扇状地上の4測線で、二次元タルワニ法に基づき地下構造解析(二次元での基盤(中・古生層)と被覆層(東海層群)の二層構造解析)による地質構造の解析資料とするため数10mピッチでの高密度探査を行った。重力測定には重力値の精密な相対測定ができるLaCoste & Romberg重力計とシントレックス社製自動重力計CG−3Mを用いた。重力探査の測定点は1000点である。
B 結果
広域探査の成果図は、金沢大学のご厚意で、これまで蓄積されたきた内部資料を重ね合わせてブーゲ異常図を作成した。図1−3−3−6に関ヶ原断層帯周辺のブーゲ異常図を示す。この図には、杉山ほか(1994):養老−柳ヶ瀬断層系ストリップマップに示されている活断層や1909年姉川地震の震央位置を示した。
広域探査では、柳ヶ瀬断層や養老断層の分布は明瞭(ブーゲ異常図の正・負の境界が直線的に連続)であるが、これと比較した場合、鍛冶屋断層・醍醐断層・関ヶ原断層・宮代断層は明瞭ではない。重力探査では、関ヶ原断層と醍醐断層・宮代断層との連続性が乏しいと判断できる。
歴史地震の震源との対比については、1909年の江濃(姉川)地震の震央と柳ヶ瀬断層の南側の延長部(伏在部)が調和的である。
高密度探査では、観測データを二次元タルワニ法に基づいた地下構造解析を行った結果、断層を積極的に推定できるまでには至っていない。
図1−3−3−6 ブーゲ異常図(関ヶ原断層帯を対象)