3−9−3 ボーリングデータの活用について

本調査においては、GL−150mまでの連続ボーリングコアの採取に成功した。現時点におけるボーリングコアの分析は、一部のテフラ、古地磁気の分析等に留まっており、ボーリングコアのデータ−分析は不充分である。北関東では深層ボーリングのデーターが不足しており、このボーリングデータ−の詳細な分析は、大きな意義を持つと考えられる。したがって、今後は、ボーリングコア中のテフラ、花粉化石、古地磁気、EPMA*1,ICP*2等の詳しい分析を行う必要がある。これにより、ボーリングコアのより詳細な、年代対比が明らかになると共に、深谷付近の地質的の環境変遷が明らかになる基礎データーが得られる。

*1EPMA(electron probe maicroanalyser: エレクトロンプルーブ・マイクロアナライザー,または,X−ray microanalyser:X線マイクロアナライザーともいう)

真空中で試料に電子線を照射して,微小部分の化学組成分析をする装置。

電子線を照射すると,試料に含まれる各元素に特有な波長の特性X線が発生する。その波長と強度を測定し,元素の種類,含有量を求める。

これにより,微細な鉱物粒子等の観察・分析が可能である。したがって,テフラの詳細な対比に有効な手段となる。

*2ICP(inductively coupled piasma spectrometry:誘導結合プラズマ分析法)

誘導結合プラズマ(ICP)とは,アルゴンなどの希ガス中に高周波をかけることにより生成した炎状の放電のこと。この中に試料を導入し,イオン化した元素を質量分析するのがICP質量分析法である。

元素濃度と同位体比を,極めて高感度(ppt,pg/ml レベル)で迅速に分析可能である。

岩石・鉱物の分析に広く応用され,テフラの分析・同定にも有効である。

図3−6−1深層ボーリングによる地質断面図とテフラ(断面:A)

図3−6−2深層ボーリングによる地質断面図とテフラ(断面:B)