3−7 ボーリングコアと反射法地震探査断面との対応による深谷断層の平均変位速度
本調査のボーリングでは、GL−142m(標高−101.624m)付近にガラス質火山灰が認められた。このガラス質火山灰は、30万年前あるいは60万年前の火山灰である可能性が高い(項3.4で既に述べた)。本項では、反射法地震探査との対応により、深谷断層の活動履歴を考察する。本ボーリングのGL142m付近の変位量は、反射法地震探査の反射面の対比により、断層(帯)を挾み上盤側と下盤側の高度差はおよそ85mである。従って、断層の平均変位速度は、142mのガラス質火山灰が30万年前の場合、0.283m/1000年、60万年前の場合は0.142m/1000年である。新編日本の活断層(1991)によると、深谷断層の平均変位速度は段丘上の変位地形より、0.2〜0.3m/1000年であるとしているが、ボーリングコアにおける平均変位速度はこの結果とほぼ一致する。特に、GL142m付近のガラス質火山灰が、30万年の場合に一致するようである。