2−1−5 文献による地震記録

古文書を含む既存文献で把握された被害地震の記録は下記に示す文献*1)に詳細にまとめられているが、埼玉県に被害を及ぼした主な被害は表2−2にまとめられるとおりである。

表2−2 埼玉県に被害を及ぼしたおもな地震

文献*1)ではこれらの被害地震のうち、1931年の西埼玉地震は深谷断層の属する関東平野北西縁断層帯で発生したとされ、また、818年の地震によると思われる地割れや噴砂が、最近、埼玉県や群馬県の遺跡調査で見出されていることより、この地震が関東平野北西縁断層帯あるいは元荒川断層帯が活動した可能性のあることが記されている。文献*2)では重力探査の結果をもとに、櫛挽断層を含む断層系が西埼玉地震の震源断層に相当する可能性を示唆している。

一方、文献*3)によると878年の地震は、立川断層、鶴川断層、伊勢原断層、国府津・松田断層のいずれかの活動による可能性を示唆しており、文献*4)においても、この地震の震源断層を神奈川県の伊勢原断層と推定している。