(1)表層地盤

収集したボーリングデータをもとに、図2−9図2−10図2−11図2−12図2−13図2−14に示す6断面の地質断面図を作成した。各柱状図にはN値を併記しており、その最大値は50としている。

各断面図に示されるように、当地域の表層地盤は礫質土を主体とする地層構成であり、C、D断面に見られるように第T段丘面の分布地域では、最表層部に厚さ2〜3m程度のローム層があり、その下位が段丘礫層で占められており、礫層中には2m程度の粘土層がはさまれる場合もある(C断面)。第U段丘面の分布地域でもほぼ同様の地層構成であるが、ローム層下の段丘礫層中において、@〜B断面に見られるように、粘土層が比較的よく連続すると考えられる場合もあり、断層運動による変形を表している可能性が示唆される。また、D断面の第U面では、表層直下に粘土層が分布しており、段丘堆積層の一部であると考えられ、松田ほか(1975)によって指摘された深谷粘土層に対応するものであると思われる。なお、B断面は小山川とその支流の志戸川に沿って作成した断面であり、表層は河川成の堆積物で構成されており、ローム層の堆積はあまり見られない。一方、沖積低地部の地盤は、おもに沖積粘土や砂礫などより構成される場合が多いが、A断面に見られるように、沖積粘土を伴わず河川成の砂礫で占められる地域もあり、地域による土質の変化が大きい。また、沖積層の砂礫層は、下位の段丘砂礫層に直接重なって分布する場合が多いが、ここで得られている土質とN値の情報では、両者の地層区分を明確に行うことは困難であるが、おおむねN値=50が安定して連続する砂礫層以深を段丘砂礫層として区分した。