2−1−2 物理探査

調査地周辺では、深谷断層をはじめとして平井断層や櫛引断層などを対象に、地下構造を明らかにするため、これまでにも反射法地震探査が行われている。本調査地周辺における既存の探査測線位置は図2−5に示すとおりであり、それぞれの探査結果を図2−6に示す。

これらの結果に見られるように、深谷断層は第四系〜新第三系に属すると思われる地層の屈曲として把握され、地表付近ではおおむね地層が撓曲した状態にあると推定される。地形的に認められている断層崖は、地層の屈曲する部分に位置しており、この屈曲点を断層の位置とした場合、断層はこの断層崖の崖麓部におおむね相当することになる。しかし、この地域に見られるように、河川作用によって断層崖が侵食され、断層位置が崖麓部の前縁に位置する場合もある。なお、物理探査に見られる深谷断層は、従来、断層が通過するとされていた岡部町付近から熊谷市三ヶ尻をへて熊谷大橋付近を通過し、比企丘陵の北東縁の荒川付近まで追跡される。

図2−5 既存の反射法地震探査測線

図2−6 既存の反射法探査結果

(1)山口ほか(1994)による反射時間断面

(2)山口ほか(1997)による反射時間断面

(3)稲崎ほか(1988)による反射時間断面(荒川北岸測線)

(4)稲崎ほか(1988)による反射時間断面(荒川南岸測線)

(5)山口ほか(1998)による反射時間断面