(3)測定結果

帯磁率は、試料に含まれる概略の磁性鉱物量を示すため、岩相と相関のある場合が多い。しかし今回は、岩相と帯磁率の間に明瞭な相関は認められなかった。

段階交流消磁の結果、多くの試料が15mT以上で原点に向かって消磁される一次磁化成分を持っていたため、安定磁化ベクトルは、15〜50mTの消磁レベル区間の磁化ベクトルを用いて原点を通る直線で近似して求めた。しかし、深度23.90m,140.70mの2試料については、原点に向かって消磁されなかったため、近似は前述の直線を使用しなかった。

以上で求めた磁化の伏角から、磁場逆転境界を深度233.05〜241.25mの間に確認した(図3−5−25)。また、その直下(深度250m付近)に正帯磁を示す部分も確認された。

この磁場逆転境界はBrunhes−Matuyama境界と考えられ,上総層群国本層中部に対比される。また,250m付近の正帯磁帯はB/M境界直下に存在が報告されているいわゆる”Bイベント”と呼ばれるショートイベントであると考えられる。”Bイベントは”上総層群や江戸川でのボーリングコア(GS−ED−1)でも報告され(佐藤ほか,1988;遠藤ほか,1991),梅ヶ瀬層のU6層準に対比されている。

〈 引用文献 〉

遠藤秀典・上嶋正人・山崎俊嗣・高山俊明(1991)東京都江戸川区GS−ED−1ボーリングコアの古地磁気・石灰質ナンノ化石層序.地質学雑誌,Vol.97,No.6,pp.419−430

佐藤時幸・高山俊明・加藤道雄・工藤哲朗・亀尾浩司(1988)日本海側に発達する最上部新生界の石灰質微化石層序その4:総括−太平洋側および鮮新統/更新統境界の模式地との対比.石油技術協会誌,Vol.53,No.6,pp.475−491