その結果、標高−13m付近から0mにかける海退、−50〜−45m付近の海進、−120m付近での海進が明らかになり、それと同時にシークエンスの欠如が明らかになった。この傾向は、b`−2孔, b`−4孔でもみつかり(巻末の分析表参照)、その他の地点でも矛盾しないようにみえる。
A測線(反射法弾性波探査測線)での変化にくらべ、下流側に位置するB測線での変化があまり顕著でないことが気にはなるが、これはサンプリングインターバルに依存すると考えることは可能である。さらにb`−1孔の標高−165m付近でもシークエンスの欠如が認められる。標高−88m付近では小規模な変動が認められるが、海水準の変動を伴った物なのか、河川流路の変化と埋積により説明つくのか、断定はできない。
〈 引用文献 〉
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