@初動決定
オリジナル波形の初動位相部分(振幅が急に大きくなって波が到達したと見られるポイント)に着目し、概略の初動走時(弾性波が振源から受振点に到達するのに要する時間)を決める。この走時を基準にして以下に述べるポラリゼーションやミュート等を行なう。
ABPF(バンドパスフィルター)
記録中には信号以外の様々なノイズが含まれている。そこで、信号とノイズの周波数の違いに着目して、不要なノイズの低減を図る。
Bポラリゼ−ション
オリジナル記録のうち水平動2成分のデータを用いて、オ−ビット(軌道)を描いて振幅の卓越する方向を合成軸とする。そして水平動2成分の波形から合成軸の方向に1つの波形を合成する。P波の場合はもともと1成分しか測定していないのでポラリゼーションは実施しない。
Cセンスの統一
S波の場合、孔内での受振器の回転により測定される波形の正負が見かけ上逆転するため立ち上がり方向(センス)をそろえる。P波の場合は、センスがばらつくことはないので実施しない。
Dミュ−ト(Mute)
初動より前の部分は必要ないので除去する。
EAGC(オ−トゲインコントロ−ル)
反射波が含まれているアフタ−フェ−ズの部分は初動位相部分より振幅が小さいので、その振幅を大きくする。
F速度フィルター
地表から地下に向かって伝播する下方伝播波と反射面で反射して地表に向かって伝播する上方伝播波を速度値に着目した2次元のフィルター処理で分離する処理。速度フィルターには色々な手法があるが、ここではτ−Pフィルターを用いた。
GTwo−way time変換
初動走時は、地震波が地表震源から反射面まで伝播するに要する時間とみなさせる。その時間を2倍にすると、地表から反射面まで伝播し、反射面で反射して再び地表に戻ってくるまでの時間(Two−way time)が得られる。そこで、上記速度フィルター処理で得られた上方伝播波(反射波)だけの記録に、初動の時間が2倍になるように時間シフトを与える。この結果、反射波は時間軸に平行に並び、反射波の発生深度と地表で反射波が現れる時間との関係がわかる。
この処理をTwo−way time変換と呼ぶ。
H反射波形の合成
Two−way time変換後の上方伝播波を時間軸に平行な方向にスタック(加算)することにより、ボーリング地点に起振点、受振点を置いた場合の反射波形記録を合成することができる。実際には、多重反射の影響などを避けるため、スタックする際には、初動付近のデータのみを使用する。これをコリドースタックと呼ぶ。