(2)サスペンション法PS検層

(1)測定方法

サスペンションPS検層は、ダウンホール法PS検層とは異なり、孔中で起振と受振を行う。測定系は、図3−4−2の概念図に示すように、@振源と2組の受振器が組み込まれたゾンデ部、A波形記録・制御機能を有する地上装置、Bゾンデを移動させるためのケーブルウインチからなる。

振源は、ソレノイドハンマーによって振動板を打撃することにより、孔内水を介して孔壁に振動を与える間接加振型振源である。

受振器は、孔壁を伝播してきた波動によって励起された孔内水の動きを検出する、漂遊型受振器である。受振器には、水平動1成分の換振器と、P波観測用ハイドロホンを1組とする受振ユニットが1m間隔で2組内蔵されている。

孔壁を伝播してきた振動は、受振器で電圧信号に変換され増幅された後、ケーブルを通じて地上装置に送られ、地上の記録装置に記録される。同時に、CRTディスプレイ上に表示されるとともに、プリンターへ波形記録として記録される。

図3−4−3に波形記録例を、表3−4−2に測定機器の仕様を示す。

実際の測定は、ゾンデを所定深度に挿入し、以下に示すように測定を行う。

@正方向に振源を加振し、これと同じ方向に配置している水平同成分の受振器で波動を受振し、記録する。

A逆方向に振源を加振し、これと同じ方向に配置している水平動成分の受振器で波動を受振し、記録する。

B正方向に振源を加振し、上下動成分の受振器で波動を受振し、記録する。

これら3回の波形記録をフロッピーディスクに収録するとともに、プリンターに出力させた後、次の測定深度にゾンデを移動する。

(2)解析方法

サスペンション法によるP波、S波速度の算出は以下のように行った。

P波速度は、得られた波形記録の内、上下動成分の記録について、2つの受振器間の初動あるいは同一位相の走時差を読み取り、受振器間隔(本システムにおいては1m)をその走時差で除算することにより求められる。

S波速度は、得られた波形記録のうち水平動成分の記録について、正打撃による波形と、逆打撃による波形の反転性によりS波の確認を行い、同じく2つの受振器間の同一位相の走時差を読み取って、受振器間隔をこの走時差で除算することにより求められる。

以上の手順で算出されたP波、S波速度は、1m毎の地盤の弾性波速度分布を反映したものである。そこで、地盤の弾性波速度を速度層構造として把握するため、P波、S波それぞれについて、2つの受振器間の走時差を測定深度の浅い順に累積加算し、累積走時曲線を作成した。この累積走時曲線の折れ点から速度層境界を、傾きから速度層毎の速度を求めた。