受振計は、ボーリング孔に直交する水平動2成分と上下動1成分の計3成分の換振器を内蔵している。受振計の外周はゴムチューブで覆われており、ナイロンチューブを通してその中へ空気を送り、ゴムチューブを膨らませることにより孔壁に圧着、固定する機構となっている。なお、孔中受振計の片側部分には鋼製の背板が取り付けられており、孔中受振計は孔壁と同一の動きをするようになっている。
測定手順を以下に記す。
@孔中受振計を所定の測定深度に圧着する。
A地表においてカケヤ等を用いて起振する。
B地表で起振され地盤中を伝播してきた弾性波は、孔中受振計により電圧信号に変換される。
C変換された信号は増幅器により適当なレベルに増幅後、記録器により振動波形記録として記録される。
D1深度における測定が終われば、次の測定深度に孔中受振計を移動させ、同様の作業を行う。
地表でのP波、S波の起振方法を以下に示す。
P波の起振はカケヤを用い、ボーリング孔近くの地表面に設置した振源杭を垂直打撃することにより行った。S波の起振は、同じくボーリング孔近くに厚板を設置し、その上に約200kg程度の上載荷重をのせて厚板を地表面に密着させ、その側面をカケヤにより水平に強打して地面にせん断力を与えてS波を起振させる、いわゆる「板叩き法」により行った。
なお「板叩き法」により波を起振する場合、S波は板の打撃方向を逆にすれば位相が逆転するため、測定時には1深度で正・逆方向の双方から打撃を行い、S波の確認を行った。
P波およびS波が起振された瞬間を示すショットマークは、P波、S波ともにカケヤに直接固定したショットマーク用受振計によって得た。
なお、図3−4−1にダウンホール法PS検層測定模式図を、表3−4−1に測定機器の仕様を示す。
(2)解析方法
以下にダウンホール法PS検層の解析手順を示す。
@P波およびS波記録とも、ショットマークの位置を合わせ、深度順に波形をトレースする。トレースする記録成分は、P波の場合はP波が優勢に検出される上下動成分、S波の場合は水平動成分の記録をトレースする。
Aトレースされた波形記録により、P波については深度方向に伝播する初動の確認、S波については位相の逆転の有無により、深さ方向に伝播する同一位相のS成分の確認を行う。
B各深度のP波、S波記録より、ショットマークから確認された同一位相までの走時(弾性波が到達した時間)を読み取る。
C測定時には、振源は孔口より隔たった地点に設けるため、測定深度と波が伝播する距離は異なり、読み取った走時(t0,t1,・・・・・,ti)は測定深度に対応した走時ではない。したがって、以下の方法で測定深度に対応する走時を算出する。
振源と孔口との水平距離をH、測定深度をdiとすれば、振源からi番目の測定深度地点までの距離Xiは、
となる。i番目の走時をTi、測定深度間隔をDとすると、補正走時Txは
で求められる。
D得られた走時Txを横軸、測定深度diを縦軸に取り走時曲線を作成し、その勾配より速度を、その折れ点より速度層の境界を決定する。