(9)B層

B層は、b`−1孔の深度14.56〜61.41m(標高2.56〜−44.29m)、b`−2孔の6.20〜53.55m(標高3.31〜−44.04m)、b`−3孔の24.29〜51.79m(標高−17.59〜−45.09m)およびb`−4孔の10.07〜58.20m(標高3.48〜−44.65m)間に認められ、@最下部の礫層、A下部のシルト層、B中部の砂・シルト互層、C中部の火山灰層、およびD上部の砂層、シルト層の5層にに大別できる。

@の最下部の礫層は、b`−1孔では深度56.49〜61.41m(標高−39.37〜−44.29m)間に分布する。本層は、径4mm程度のチャート・凝灰岩類・緑色片岩・安山岩類の円礫を主体として、最大径4cmの礫を含んでいる。基質は中〜粗粒砂からなる。さらに@層全体では、上方細粒化のサイクルが認められ、下位の砂・シルト層とは明瞭な境界をもって接し、Aの上位のシルト層とも比較的明瞭な境界をもって接している。本層は下位の砂・シルト層(C層)とは非常に明瞭な境界をもって接する。

また、本層は水平方向への連続性がよく、各孔では以下の深度に認められる。本層の特徴は、上記に示した通りであり、これらの孔でもほぼ同様の特徴を持って分布する。

b`−2孔:深度46.60〜53.55m(−37.09〜−44.04m)

b`−3孔:深度46.65〜51.79m(−38.95〜−45.09m)

b`−4孔:深度52.75〜58.20m(−39.20〜−44.65m)

ba−1孔:深度42.31〜46.64m(−35.39〜−39.72m)

ba−2孔:深度40.88〜45.68m(−34.88〜−39.68m)

ba−3孔:深度41.14〜46.00m(−34.71〜−39.57m)

ba−4孔:深度41.69〜46.25m(−35.54〜−40.10m)

ba−5孔:深度40.88〜47.45m(−34.76〜−41.33m)

Aの下部のシルト層は、暗オリーブ灰〜灰色を呈する細粒砂質シルトおよび火山灰質シルトからなる。b`−1孔では深度49.55〜56.49m間に比較的厚く分布する。ただし、A測線沿いでは、水平方向の連続性が悪く、B測線では層厚の変化がやや見られる。

A測線での層厚の変化は以下に示す通りであり、b`−3孔で認められなくなる。すなわち、b`−3孔から東西両方向に向かって本層が厚くなる傾向が見られる。

b`−1孔:6.94m

b`−2孔:2.19m

b`−3孔:0.00m

b`−4孔:4.50m

B測線では、各孔での層厚2〜3mで、東に向かって厚くなる傾向がある。

Bの砂・シルト互層は、黒〜オリーブ黒色を呈する細〜中粒砂層と灰〜灰オリーブ色を呈する砂質シルトからなり、上位から中位に数cm厚程度の火山灰層ないしは火山灰質シルト層を挟む。

なお本層中では細かな堆積サイクル(上方細粒化)が4サイクル認められる。本層中での砂層およびシルト層は、上・下方向および横方向の層相変化が顕著である。

Cの火山灰層は、層相の特徴がA測線沿いとB測線沿いで異なり、A測線では上位の灰オリーブ〜黄灰色を示す火山灰質シルト層(層厚1〜2m程度)と、下位の黒〜黒褐色を示す有機質土層(層厚0.5m程度)の組み合わせとなる。B測線では有機質土層が分布せず、有機質土混じりの火山灰質シルトで特徴づけられる。

火山灰分析の結果、房総半島の清川層に対比できる広域テフラ(TB−7,TB−8)が検出できた。判定の根拠として、TB−7のopx(普通輝石)の屈折率が1.7以上と以上に高く、類例がないことがあげられる。

これらの分布深度は、b`−4孔で他の孔よりも2〜3m程度、標高で低い位置に分布するが、その他の孔ではA測線で標高−20m、B測線で標高−18mとなり、ほぼ水平に分布することがわかる。

Dの砂層・シルト層は、A測線では上部から「(a)オリーブ黒色を呈する細〜中粒砂層、(b)黒〜オリーブ黒色を呈する砂質シルト層、(c)貝化石および粗粒砂大の貝化石片を含む中粒砂層、(d)黒〜オリーブ黒色の火山灰混じりシルト層・細粒砂層」の4層からなり、水平方向への連続性が良い。なおB測線では、上記(c)層と(d)層間に砂層が存在する。この砂層は、水平方向への層相の変化が激しく、西(ba−1孔)から東(ba−5孔)に向かって粗粒砂からシルトへと変化している。

本層は、花粉分析等の結果から、以下の事項が明らかとなった。

@下位のB層とは堆積環境に明瞭な境界を持って接している。そのため、不整合面である可能性が高い。

A標高−20m付近に位置する火山灰層(TB−8,TB−7)付近に堆積環境の激変する箇所がある。