b`−1孔では、深度61.41〜116.00mの間に分布する。
本層は、@最下部の砂・礫・シルト互層から、Aシルトの卓越する下部層、B中〜細粒砂層を主体とする中部層、C火山灰層を含む砂・シルト層からなる上部層、D貝殻片を含む砂・シルト層などからなる最上部層の5層に大別できる。
なお、b`−1孔を除く他のA測線沿いの3孔(b`−2〜A−4孔)では、いずれも下部の礫層の一部から上位の地層が確認され、C層の全層準は認められていない。さらに、B測線沿いの5孔でも同様に、C層の全層準は認められていない。
@の最下部の礫・砂・シルト互層は、b`−1孔では深度110m(標高−92.88m)以深に分布する。本層は比較的淘汰の良い、オリーブ黒〜灰色で中〜細粒の砂層と、チャート・ホルンフェルスを主体とする径1〜4cmの円礫を含む砂礫層との互層である。本層上面は、b`−1孔で標高−92.88m、b`−2孔では標高−89.66m、b`−3孔では標高−91.34mと、ほぼ標高−90mが上面となる。b`−2,A−3孔では孔底部の1mないし2m区間に、本層上限の砂礫層が認められている。
Aの下部層は、b`−1孔で深度92.52m(標高−75.40m)以深に分布する。全般にオリーブ黒〜灰色を呈する極細〜細粒砂混じりのシルトを主体とする。下半部ではシルト混じり細粒砂〜細中粒砂を挟んでいる。深度102〜104m間では、砂・シルトの細互層が認められる。上部では貝化石および貝化石片を含む。全般的にはシルト勝ちの互層であるが、単層単位では水平方向の変化に富む。
b`−2孔では、深度90.32m(標高−80.81m)以深に分布する。b`−1孔同様、全般にオリーブ黒色を呈する。一部では黒褐色ないし黄灰色を呈する。層相は、シルトと極細粒砂との互層状であり、上部に火山灰質シルト(後述する指標テフラa−4)を含む。また、最上部ではシルト質細粒砂層中に貝化石を含む。
b`−3孔では、深度88.75m(標高−82.05m)以深に分布する。前述のように、単層単位での水平方向の変化に富み、ここでは細粒砂を主体とする。
b`−4孔では、孔底部(深度98.82m以深)に本層上限が認められる。
本層中には、後述するa−4火山灰層が、以下の孔の各深度に検出された。
b`−1孔:深度100.30〜100.35m(標高−83.18m〜−83.23m)
b`−2孔:深度91.15〜81.74m(標高−81.64m〜−81.74m)
b`−3、A−4孔では本火山灰層の分布層準に相当する堆積物がやや粗粒であるため、検出されなかった可能性がある。
B測線では、ba−1,B−5両孔の標高−76m付近にシルト層の上面が位置する。ここでは下位の標高−80m付近に分布する火山灰混じりシルト層中にa−4火山灰層がa−5火山灰層とあわせて検出されている。すなわち、A,B両測線を通じて殆ど分布標高の差が認められない。
Bの中部の砂層は、b`−1孔で深度70.25〜92.52m(標高−53.13〜−75.40m)間に分布する比較的均質なオリーブ灰〜オリーブ黒色を呈する細流〜中粒砂よりなり、全体に淘汰は良好である。下部に貝化石片を、上部にヒメスナホリムシの生痕を含む箇所がある。所々で火山灰層・軽石片・シルトの薄層を含む。本層は水平方向にも良好な連続性を示し、A,B両測線区間を通じ、比較的地域差がみられない。
Cの火山灰層からは、調査地値のほぼ全域にわたってa−2火山灰層が検出されており、ba−3,4,5孔では、その下位にa−3火山灰層が連続する。
a−2火山灰層の特徴は、A測線沿いのb`−1〜A−3孔で「色調は黄灰〜暗黄灰色を示し、径はシルトサイズ、火山ガラスを多く含む」である。分析の結果、opx(普通輝石)の屈折率が1.708〜1.715の範囲にあることが明らかとなった。 b`−4孔ではやや特徴が異なり、色調は暗緑灰色を呈し、軽石混じり火山灰である。A測線沿いの4孔での本層の分布標高は、標高−52m程度で4孔とも一致し、水平方向への連続性が良い。
B測線沿いのボーリング孔でも、ba−1,B−2,B−3,B−5孔の4孔で確認されており、その特徴は「色調は灰黄褐〜灰オリーブ〜黄褐色を呈し、径は一部で細〜中粒砂サイズとなる他はシルトサイズであり、火山ガラスを多く含む」であり、A測線沿いで見られた地質状況との差異はない。本測線でのa−2火山灰層は、 ba−1孔で周辺よりやや低い標高に位置していることや、ba−4孔で現れないといった点があるものの、全体的にはほぼ同一標高(標高−48m付近)に分布する。
a−3火山灰層は、B測線沿いのボーリング孔であるba−3,B−4,B−5孔で認められた。層相の特徴は、「色調は灰黄から灰オリーブ色を呈し、細粒砂ないしはシルトを混入する」であり、分析の結果、、opx(普通輝石)の屈折率が1.709〜1.720の範囲にあることが明らかとなった。なお、A測線沿いのb`−3孔でも認められた。その他の孔ではa−3火山灰層は認められず、河川の流路等の影響により、火山灰の堆積しない環境下にあった可能性が考えられる。
Dの、貝殻層を含む砂・シルト層は、b`−1孔で深度61.41〜67.03m(標高−44.29〜−49.91m)間に分布する、オリーブ黒色を呈する細粒砂〜細粒砂とシルトの互層である。全体的に貝化石および粗粒〜中粒砂程度の貝化石片を含み、細粒砂主体層と貝化石片との細互層状である。
本層は、水平方向に良好な連続性を示しており、下記の各孔の各深度に対比できる。
b`−2孔:深度53.55〜59.00m(−44.04〜−49.49m)
b`−3孔:深度51.79〜56.46m(−45.09〜−49.76m)
b`−4孔:深度58.20〜65.00m(−44.65〜−51.45m)
また、B測線沿いについても同様に、
ba−1孔:深度46.64〜54.73m(−39.72〜−47.81m)
ba−2孔:深度45.68〜54.30m(−39.68〜−48.30m)
ba−3孔:深度46.00〜54.37m(−39.57〜−47.94m)
ba−4孔:深度46.25〜54.28m(−40.10〜−48.13m)
ba−5孔:深度47.45〜54.21m(−41.33〜−48.09m)
のそれぞれに対比できる。
本層の上面深度は、A測線沿いでは標高−45m程度、B測線沿いでは標高−42m程度であり、水平方向に連続し、南北方向に関しての変化も認められない。
本層は、花粉分析等の結果、経時的に以下の3パターンの堆積環境のあったことが明らかとなった。
@やや温暖な気候から冷涼な気候に移り、堆積環境も海域から河川域へと移行する。堆積物は中粒〜細流砂を主体とする。
A一部では陸化し、火山灰が降下、一部では表層に腐食土生成。
B気候は冷涼なまま変わらないが、堆積場が陸域(河川域)から海域となる。(海進があった)