また,角田・埼玉人工地震観測グループ(1981)は,人工地震の観測から得られた基盤の速度構造を解析し,その結果,速度構造に認められる段差は断層により生じたものと解釈してこの断層を「綾瀬川基盤断層」と呼称した。
その後,堀口・角田(1987)は,上記の微地形と地表踏査で確認された段差地形の顕著な桶川市加納地区と大宮市深作地区の2地区において,ボーリング資料の対比およびオールコア・ボーリングを実施し,地下の地層のずれの検討を行った。その検討結果によると,加納地区では,沖積低地を挟む北方の舎人新田との間には、腐植物の入るシルト層(鍵層)が約9mずれていることから,主断層は地表で想定された綾瀬川断層の地点をはずれて,むしろ台地と低地との境界付近に考えた方がよいとし,深作地区では,現在のところ地下の地層のずれを示す積極的な証拠はみあたらなかったとしている。
図1−1 元荒川構造帯(清水・堀口,1981による)