3−4 上町断層帯南部(堺市付近の断層群・坂本断層・久米田池断層)
大阪南部の活断層については、「新編 日本の活断層」(活断層研究会、1991)以後に新たな調査が実施されたこと、国土地理院(1996)発行の都市圏活断層図の作成にあたり、詳細な空中写真判読が実施されたことにより大幅に改定されている。大和川測線で確認された上町断層主部の断層線は南部堺市まで連続して追跡することができ、地質調査所が実施した仁徳天皇陵南の東西測線でその撓曲が確認された(図3−19、図3−20)。これより南部では、坂本断層まで断層は数本に分岐する。この部分でも、地質調査所が浅層反射法探査を実施しており、表層部の地層が2箇所で西落ちに撓むことが観察され、同時に都市圏活断層図に記された断層線と整合性があることがわかった(図3−21、図3−22)。これより南部では、大阪府が坂本断層南部で群列ボーリングおよびトレンチ調査を行い、撓曲部は幅数100m程度の幅を持つ可能性が明らかになった。さらに、反射法地震探査結果より、坂本断層のさらに南側に基盤部の落差が300mにもなる久米田池断層の存在が明らかになった(図3−23、図3−24)。平成9年度大阪府実施の久米田池断層南部の群列ボーリングおよびトレンチ調査により、調査地付近では変位がほとんど認められず、そのまま複数の断層線に分岐しながら消滅すると考えられる結果となった。