<久米田池断層>
・Ma4〜Ma7の下面の比高(下面標高の差)およびMa3層の上面の比高(上面標高の差)と傾斜を求めると以下の通りである。
Ma7 比高:176.75m/傾斜:11.0°
Ma6 比高:168.80m/傾斜:11.9°
Ma5 比高:189.22m/傾斜:12.0°
Ma4 比高:208.55m/傾斜:13.2°
Ma3 比高(上面標高):213.92m/傾斜:13.4°
・Ma4〜Ma7の各地層間の比高差は以下の通りである。
Ma6−Ma7:‐7.95m
Ma5−Ma6:20.42m
Ma4−Ma5:19.33m
・両ボーリングで確認された八町池T火山灰層の比高は188.73mである。
・今回のボーリングと反射断面を対比すると(図1−7)、No.1孔(CMPNo.100付近) の標高90m付近の明瞭な反射面はMa10層の下面と、標高220m付近の反射面はM a4層の下面と一致する。また、No.2孔(CMPNo.450付近)の標高30m付近の反 射面はMa3層の下面もしくは、アズキ火山灰層に対応する。その他の反射面に ついては、海成粘土間の粗粒層に反射断面中の縞模様の黒い部分(低速度層)が対応し、Ma3〜Ma10層についての柱状図と反射構造は概ね一致すると考えられる。
2本のボーリング間でMa4からMa6の各地層には約20mの比高差があり、累積性が認められる。したがって、反射断面も合わせて考えると、久米田池断層はMa4〜Ma6の間に活動していたことが示唆される。また、Ma6−Ma7間の比高差がマイナスになる原因としては、No.1孔においてはMa5層−Ma6層間の粗粒層がNo.2孔よりも厚く堆積した結果、No.1孔のMa6層の下面標高が高くなったためと考えられる。以上の結果をもとに作成した推定断面図を図1−8に示す。
<坂本断層>
本調査で実施したNo.2孔の東約1.5kmには、坂本断層がNW−SE走向で通過する。さらにこれよりも東側のいぶき野では大阪層群最下部団体研究グループ(1992)が地質調査を行い、各種火山灰層の分析および海成粘土の同定を行っている。この2つのデータは、坂本断層の上盤と下盤にあたり、調査方法が異なるが、断層の概ねの活動性を考察することができる。
坂本断層下盤側のNo.2孔と上盤側で報告されている、いぶき野1丁目周辺の柱状図(図1−9)を対比すると、坂本断層について以下の情報が得られる。この断面からは、坂本断層の構造は不明瞭である。また、国土地理院(1996)発行の都市圏活断層図からは、この断面の位置は坂本断層の末端部に相当することがわかる。したがって、この断面が坂本断層の活動性を完全に反映する可能性は低い。
・No.2孔と大阪層群最下部団体研究グループ(1992)を用いてMa4〜Ma7の下 面標高の差(比高)を求めると、以下の通りである。
Ma7:40.76m
Ma6:52.16m
Ma5:51.45m
Ma4:51.27m
・Ma4〜Ma7の各地層間の比高差は以下の通りである。
Ma6−Ma7:11.4m
Ma5−Ma6:‐0.71m
Ma4−Ma5:‐0.18m
・両柱状図間で確認された八町池T火山灰層の比高は、51.27mである。
Ma4〜Ma6層は比高がほとんど等しいことから、この地域の坂本断層には累積性がないと考えられる。Ma7で比高が小さくなる原因として、No.2孔のMa6層の層厚が厚く、それが原因でMa7層の下面標高が上昇したことが考えられる。そのために、Ma6層とMa7層の比高差が大きくなると予想される。