(2)西トレンチでの地層の特徴

1層:本層は現耕作土である。

2層:本層は次のように細分される。

2A層:橙色を呈するシルト混じり粘土。下位の1C層との境界は比較的明瞭である。

2B層:灰色を呈するシルト混じり微砂である。トレンチ上端での標尺(以下省略)N10付近から西側のみ分布する。旧耕作土の可能性もある。下位の2層と境界は明瞭である。

2C層:明黄褐色および灰色を呈するシルト。N0〜N4間とN14から西側では下位の3層を直接覆って分布する。

2D層:暗褐色から褐色を呈するシルト混じり微砂〜細砂である。砂分の多いところは、黒褐色を呈する。樹枝状の割れ目により部分的にブロック化している。割れ目は灰色のシルト、砂質シルト、細砂等によって充填されている。

最下部は細砂からなる砂層で、上方へ向かってシルト混じり〜シルト質となり上部層へと連続的に変化する。全体として上方細粒化の正常分級をしている。全般に下位の3層との境界はやや明瞭で、N5〜N6付近と、N12〜N14付近では、下位の3層を削り込んで堆積している。

3層:黒褐色を呈するシルト混じり粘土。樹枝状の割れ目が多数入り、ブロック化している。割れ目は灰白色の粘土、シルト、砂質シルト、細粒砂等によって充填されている(写真4−3)。N0〜N6の中部には、細粒砂〜中粒砂を主体とし、極粗粒砂〜細礫が点在する砂層が挟在する。また、N12〜N14では、3層が溝状に下位の4層を削り込んでおり、溝状内部にはほぼ水平な葉理が認められるシルト質微砂が堆積している。全般に下位の4層との境界はやや明瞭で多少の凹凸がみられる。

4層:シルト主体層。色調、腐植質の混入の程度、砂分の混入の程度などから大きく、上部の4A層、中部の4B層、下部の4C層に3区分でき、さらに中部の4B層は腐植分の有無によって4B−A層と4B−B層に、下部の4C層は砂分の混入の程度から4C−A層と4C−B層に区分できる。

4A層:暗灰黄色〜黄灰色を呈する粘土混じりシルト。N1〜N8の最下部は微砂〜中粒砂が混入しており、やや砂質のシルト混じり砂となる。N1〜N8では全体として上方へと細粒化する正常分級をなしている。特にN2〜N3の最下部は中粒砂〜粗粒砂が主体となり細礫も点在する。

4B層:4層の中部をなす層で、大部分はシルトを主体とする4B−A層からなる。4B−A層の下部は部分的に砂質となっている。最下部は部分的に腐植質の粘土となっており4B−B層として区分した。

4B−A層:4B層を主として構成する灰色および黄褐色を呈するシルト。N4から西側に分布する。N2〜N4の上部は細粒砂が混入してやや砂質となっている。また、N3〜N12の最下部は細粒砂〜粗粒砂が混入して全般に砂質となっている。砂分の多いところでは、砂の粒子が葉理にそって配列しており、極粗粒砂や細礫が点在する。中部から上部にかけては、樹枝状の割れ目が多数入り、ブロック化している。割れ目は灰色の粘土、シルト、砂質シルト等によって充填されている(写真4−3)。

4B−B層:4B層の最下部にみられる、紫灰色を呈する腐植質粘土〜腐植質微混じり粘土。N1〜N3の4C層を削り込んだチャネル状の窪みに堆積しているところで、層厚が最大となっている。N4〜N5、N6付近にも4B層と4C層との境界部の葉理の発達した砂層中に挟まれる様に、レンズ状のものが分布する。4B−A層の下部の砂質な部分と指交関係と考えられる。

4C層:4層の下部をなす砂を主体とする層で、葉理が発達する中粒砂〜粗粒砂を主体とする4C−A層とシルト質〜シルト混じり微砂〜細粒砂を主体とする4C−B層とに区分できる。4C−A層は部分的には4C−B層を削り込んで堆積しているが、大局的には両者指交関係と考えられる。

4C−A層:灰色〜灰オリーブ色を呈する砂層。中粒砂〜極粗粒砂主体で、基質はシルト混じり細粒砂。N4〜N12では4C−B層を削り込んで分布する。全般に砂の粒子が葉理にそって配列しているのが認められる。特に粗粒な部分では粗粒砂〜細礫が主体となり粘性土分を含まない。

4C−B層:淡灰色〜淡青灰色を呈するシルト質〜シルト混じり微砂〜細粒砂。上位の層に削り込まれている部分も認められるが、大局的には指交関係と考えられる。N0〜N4と、N12〜N16に分布する。シルト分の多いところと少ないところが斑状に分布する。

観察の結果、地層の粒度、色調、堆積物の特徴などから、東トレンチの3層は西トレンチの3層に、また、東トレンチの4b−a層は西トレンチの4B−A層に対比した。