各地層について以下に報告する。
(1)A層
本層はトレンチ観察結果(図5−10)におけるA−1層からA−3層を一括したものである。
主としてかなり固結した青灰色の粘土であり、大阪層群の海成粘土と考えられる。層相によりA−1〜A−3層に区分した。それぞれの境界面はN10〜20゚Eの走向で、20〜25゚Wで傾斜している。
(a)A−1
主として青灰〜緑灰色の粘土〜シルト層であり、上部のB層との境界付近は黄灰〜橙色の風化色を示す。
60〜80゚程度の傾斜を持った不連続な割れ目が幾つか見られる。N4〜N5付近では灰白色斑状物質を含み、砂質である。
(b)A−2
灰色砂混じり粘土層であり、N3〜N5およびS3〜S5付近で見られる。下位のA−1層との境界は砂層が挟在し、凹凸がある。A−1層との境界の走向傾斜はN10゚E、22゚Wである。
A−1層同様、上部のB層との境界付近は黄灰〜橙色の風化色を呈する。
(c)A−3
明青灰〜青灰色シルト質粘土層であり、N4およびS4以西で見られる。一部に茶褐色に変色した部分が見られる。割れ目は無作為に多数入っており、割れ目に沿って風化が進み変色している。A−2層との境界面はN20゚E、25゚Wである。
(2)B層
主として淘汰の悪い礫主体の砂礫層である。礫は径10〜200mmの亜円礫主体、最大径は300mm程度である。礫種は花崗岩類・砂岩・泥岩・チャートである。基質は主に砂であり、一部シルト質な部分がある。
B層は大きく上部・中部・下部の3層に分けられる。
下部は径50〜100mm程度の円〜亜円礫が主体の砂礫層で、基質は砂である。
中部は径100〜300mm程度の亜円礫が主体の砂礫層であり、基質中は粗砂で細礫が多く混入する。
上部は径50〜100mm程度の亜円礫が主体の砂礫層であり、下部より礫径が小さく、礫率も低い。基質は主にシルト質砂であるが、S3〜S8付近のB層上部は礫混じり砂質シルトに近い。
(3)C層
主として黄褐〜暗灰色を示すシルトおよび粘土層からなり、B層を削剥して堆積している。堆積構造の関係からC−1〜C−5層に区分される。C−1およびC−3層はB層を直接削剥し堆積したものである。現在のところC−1とC−3についてはどちらが先に堆積したか不明である。
C−1層とC−2・4・5層の関係はC−1層をC−2・4・5層が削剥しているためC−1層堆積後にC−2層が堆積しさらにそれをC−4・5層が削剥した堆積構造が考えられる。
また、N9付近ではC−4層の上にC−5層が堆積しているのが確認された。さらに、C−4層がC−3層を覆っているのがN4付近で確認されたため、N4およびS3以西の堆積物をC−3層とした。
(a)C−1
S13〜S16の間に見られる砂礫層である。礫種はB層と同じであるが礫径が小さく、水平の堆積構造が見られる。
(b)C−2
S9〜S11の間に見られる礫混じりシルト質粘土層である。径50〜100mm程度の亜円礫を含む。礫質な堆積物である。
(c)C−3
B層を大きく削り込み、N4およびS3から西側に分布する層厚2m程度の砂礫、砂およびシルト層である。
下部の砂礫および砂はA層と接している。上方細粒化しており最上部はシルト質である。
(d)C−4
N4〜N9、S6〜S10の間に分布する、礫混じりシルト層である。さらに、上部・中部・下部の3層に分けられる。
下部層は、黄褐〜褐色の礫混じりシルト層であり、比較的多くの礫を含んでいる。礫は径10〜30mm程度で、最大径180mmである。礫種は花崗岩類・砂岩・泥岩・礫岩・変成岩等である。
中部層は有機質暗褐色シルト層であり、一部に礫が混入する。花崗岩質の礫が多く、礫径は10〜30mm程度である。
上部層は青灰〜暗灰色シルト層であり、一部に礫が混入する。
(e)C−5
S10〜S13では、有機質シルトと砂の互層が見られる。N9〜N11は礫層であり、上部に有機質砂質シルトが見られる
南壁面の有機質シルト層では植物遺体が多く混入し、砂層もやや有機質である。より上部には比較的厚い有機質シルト層が見られる。。
(4)D層
本層はトレンチ観察結果(図5−6)におけるD−1層からD−3層を一括したものである。
遺物を含むシルト質砂層である。
(a)D−1
礫混じりシルト質砂層であり、黄褐〜淡褐色を呈する。遺物を含み、上部は砂質でかなり軟らかい。下部は礫質であり、径30〜50mm、最大150mm程度の亜円礫を含む。
N12〜N16付近では+1.5m付近に礫層が見られる。
(b)D−2
黄褐色礫混じりシルト質砂層であり、表土(現耕作土)の床土と考えられる。
(c)D−3
現耕作土および表土である。