4−5−1 ボーリング調査結果

ボーリング調査は、No.2(L=40m)、No.3(L=40m)、No.4(L=40m)、No.5(L=20m)、の4ヶ所にて行った(図4−1)。調査地点の配置は仏念寺山断層に対して直行するように東西方向に配置し、断層を挟む形で下盤側に2ヶ所(No.2、No.3)、上盤に2ヶ所(No.4、No.5)ずつ配置した。いずれも天竺川河床にてオールコアボーリングを行った。ボーリング結果は巻末ボーリング柱状図およびコア写真に示される。

以下に各ボーリング孔の地質状況を述べる。

@No.2(孔口標高29.21m、総掘進長L=40m)

断層下盤側、最西端のボーリングである。 現河床よりGL−3.60mまでが砂および砂礫、それ以深は粘土・砂の互層となっており、一部細礫の混入ないし細礫層がみられる。GL−3.60mまでが天竺川による沖積層で、これ以深は大阪層群と考えられる。

3.79〜5.74mの粘土層は暗灰〜暗青灰色を呈し、その色調から海成粘土層と推 定される。同様に24.52〜35.05m間の粘土主体層も海成粘土層と推定される。た だし27.15〜30.53m間が特に暗色であり、その上下は比較的明るい色調を呈すことから、その部分は淡水成の可能性がある。一方、12.20〜18.63m間の粘土層は、比較的明るい色調を呈すことから淡水成粘土層と推定されるが比較的均質な岩相から見て海成粘土層の可能性も否定できない。

海成粘土層中の29.40〜29.41mに明瞭な火山灰層を挟む。灰白色を呈すガラス質火山灰である。分析の結果、この火山灰は八町池TもしくはUと考えられる。 またその上位の13.65〜13.66mに火山灰様の灰白色粘土層が存在する。

ANo.3(孔口標高29.60m、総掘進長L=40m)

断層下盤側、推定断層位置直近のボーリングである。GL−2.04mまで天竺川による沖積層の礫質土が分布する。ただし0.75mまでの砂礫層には明らかに人工物が混入しており非常に新しいものである。2.04mより下位の粘土・砂互層は大阪層群と推定される。

2.72〜14.50m間の粘土主体層は、10.5m付近にサンドパイプが多く見られることから海成相と推定される。このうち6.70〜9.26m間が色調から見て典型的な海成粘土層である。また35.74m以深の粘土層も暗青灰色を呈し海成粘土層と推定される。

上位の海成粘土層中、8.47〜8.49mに明瞭な火山灰層が挟まれる。灰白色を呈すガラス質火山灰で、No.2の火山灰層と岩相的に類似した火山灰であり、分析の結果、八町池TもしくはUであると考えられる。またその下位の13.81〜13. 83mには乳白色の火山灰様シルト層が粘土層中に挟まれる。

BNo.4(孔口標高31.62m、総掘進長L=40m)

断層上盤側、推定断層位置直近のボーリングである。GL−3.63mまで礫質土、 これ以深は粘土および砂の互層となっている。3.63mまでは天竺川による沖積層、 これ以深は大阪層群と考えられる。

No.4に見られる粘土層は、No.2、No.3の海成粘土層と比較して色調が青灰〜 緑青灰を呈し固結度が高い等、岩相が明瞭に異なり、より下位の淡水成粘土層と推定される。また粘土層中のラミナが60°以上に急傾斜しており、潜在亀裂が多く発達する等、断層による変形を強く受けている可能性が考えられる。特に15.00m付近ではラミナが直立する様子が確認される。本ボーリングには火山灰層は認められない。

CNo.5(孔口標高32.00m、総掘進長L=20m)

断層上盤側、最東端のボーリングである。GL−2.52mまで細礫〜中礫を伴う礫質土で、これ以深は一部に細礫の混入する砂質土で構成される。2.52mまでは沖積層、それ以深は大阪層群と推定される。

本ボーリングは砂質土が主体であり顕著な粘土層は見られない。層準的にはNo. 4地点より下位であり全て淡水成相である。8.8m付近の砂質粘土中に見られるラミナはほぼ水平である。