3−5 考察

図3−23図3−24の記録から推定される地質構造を示す。図中の数字は速度解析により得られたP波速度(m/s)推定値である。検討結果は次の通りである。

1. 測線西部CMP No.220付近に、表層部では撓曲し深部では幅の広い破砕部を伴う大規模な断層が認められる。下盤側の基盤岩上面は、測線端部のため重合数が少なく明瞭には確認できないが深度900m以上と推定される。従って、この断層による基盤岩上面の落差は300m以上である。

断層を挟む両側の堆積層(大阪層群)は、反射記録から対応する地層が確認できる。これを図3−23図3−24に示す。いずれの深度の地層においても下盤側の地層の層厚の方が厚く、これらの大阪層群堆積時にこの断層が継続的に活動していたものと推定される。

この断層により、深度200m以深の堆積層が非常に破砕されているように認められる。従来確認されている大阪周辺の断層では、この程度の落差でこのように破砕されている例は少ない。この原因として水平成分の断層変位がある程度大きい可能性が考えられる。

2. CMP No.800付近に基盤岩の高まりが認められ、大阪層群の堆積構造はこれにアバットしている。従って、この高まりは大阪層群堆積以前に存在していた ものと考えられる。

これより東側の大阪層群は、緩やかな西落ちの傾斜を示すが、直下の基盤岩上面には明瞭な落差を伴う断層構造は認められず、部分的な基盤岩の傾動あるいは屈曲とでも呼ぶような運動に伴う変位のように観察される。

3. 測線東端浅部に堆積層の乱れが認められ、構造的には東傾斜の低角な断層のようにみられる。この先端CMP No.890付近は坂本断層の地形的な延長線上に位置し、この断層運動に伴う乱れと推定されるが西側の堆積層との地層対比は難しく、詳細な変位量の把握はできない。また、この断層の基盤のずれに関しては、測線外に続くため不明である。