1−1 まえがき

大阪平野を地質的に区分すると,西大阪,上町台地,東大阪の3つの地域に区分される.上町台地と西大阪地域の間には上町断層があり,この断層によって地層が大きく食い違っていることがこれまでの研究で明らかにされている.

断層の中でも第四紀(約200万年前〜現在)に活動したとみなされる断層は「活断層」と呼ばれる.このような活断層に沿う地域では,地震の時には食い違いや傾斜ができる可能性があるばかりではなく,地下において大きな地震が発生する可能性があり注意を要する.新編「日本の活断層」(東京大学出版)によると,上町断層は確実度T(活断層が存在することがほぼ確定的),活動度B(平均変位速度が0.1〜1.0m/1000年のオーダー)の第一級の活断層であるが,詳細な断層通過位置および活動周期等は明らかではない.しかしながら,この上町断層は大都市部の直下を縦断し,もしこの上町断層が今後活動することになれば,直上の大阪地域は先の阪神大震災と同等,あるいはそれ以上の被害をこうむることが予想される.

このような都市部を縦断する断層が引き起こす直下型地震に万全の体制を整えるためには,断層の正確な位置等を把握する必要がある.