表5−2 ボーリング結果による金谷地区の地質構成表
イ. 土相・岩相
・cs 層
cs層は現在の畑を構成している耕作土、および山裾部の表層を形成している表土である。層厚は0.1〜0.3m程度である。
・G4 層
G4層はマトリックス支持型の礫層を主体として構成されている。礫率が全体として低く、礫混じり砂質土状の見掛けを呈する部分もある。混入している礫は小豆大以下の風化した泥質岩礫が主体である。そのほかの礫種として、はんれい岩・緑色岩・チャート、等が認められる。礫の円摩度は角〜亜角である。基質は泥質な砂で、淘汰の悪いものである。
・G3 層
G3層は礫支持型の礫層を主体として構成されている。本層は高い礫率を示し、胡桃大程度の礫を含む。混入している礫は、はんれい岩・緑色岩・チャート・泥質岩・酸性岩脈類、等の様々な岩種を起源としている。礫の円摩度は亜角〜角を主体とするが、径5〜10mm程度の礫に亜円礫が認められる。基質はシルト混じり砂である。層厚は1.5〜2.5m程度である。
なお、本層には0.1〜0.8m厚程度の砂層(細砂〜粗砂)がしばしば挟在している。砂層と礫層との境界面(ラミナ)は水平ないし20°程度までの傾斜をなしている。
・G2 層
G2層はマトリックス支持型の礫層を主体として構成されている。礫率は全体として低い。混入している礫は小豆大以下の風化した泥質岩礫が主体である。そのほかの礫種として、はんれい岩・緑色岩・チャート・酸性岩脈類、等が認められる。礫の円摩度は角〜亜角主体である。基質は泥質な砂で、淘汰の悪いものである。
・G1 層
G1層は礫支持型の礫層を主体として構成されている。本層は高い礫率を示し、拳〜人頭大程度の玉石を含む。玉石の岩種は緑色岩である。その他、はんれい岩・チャート・泥質岩・酸性岩脈類、等の様々な岩種を起源とする礫が混入している。礫の円摩度は亜角〜亜円を主体とするが、角〜亜角のものも相当数含まれている。基質はシルト混じり砂である。層厚は2〜3m程度である。
なお、本層には0.1〜0.3m厚程度の砂層(粗砂)がしばしば挟在している。砂層と礫層との境界面(ラミナ)は水平ないし30°程度までの傾斜をなしている。
・基盤岩
基盤岩は三郡変成岩類である。本地区では泥質片岩と塩基性片岩との互層が分布している。表層部が風化していたり、割れ目に富むところもあるが、規模の大きい破砕部は認められていない。これは電気探査結果とも一致している(図5−2−2)。ただし、斜めボーリングK−5孔の30〜35m間には鏡肌を伴うせん断節理が密集しているところがある。
ロ. 成層構造
金谷地区の地質断面図を図5−2−1−2に示す。同図によれば、基盤岩上面のかたち・未固結堆積層の成層状態は次のように想定される。
・基盤岩上面のかたち
基盤岩上面は畑部分の深部において、出現高度を同じくし(高度340m程度)、ほとんど平坦なかたちをなしている。一方、山裾において、同上面は高度345m程度に分布し、畑部分に比べると5m程度高い位置にある。そこで、山裾と畑の境界領域における基盤岩の岩質を斜めボーリングK−5孔で調べると、規模の大きな破砕帯は分布していないことが判明した。したがって、この基盤岩高度差は山側に向かって基盤岩上面が自然に上昇していくという分布状態を示すものであり、断層による不陸ではないものと考えられる。これは電気探査結果とも一致している(図5−2−2)。
・未固結堆積層の成層状況
金谷地区の第四紀層序は基本的に河川性堆積層(G1・G3層)と崖錐性堆積層(G2・G4層)が互層しているものである。そして、各地層はほぼ水平に分布しており、問題となる変位が認められない成層状況を示している。
ハ. 活断層の位置
前述した調査結果からみて、金谷地区の山裾部から畑にかけての地域に活断層の存在を指摘することは難しいものと判断された。
図5−2−1−2 金谷地区の地質断面図
図5−2−2 金谷地区の電気探査結果とボーリング結果との対応