4−1−5 調査地域南縁の断層

倉木山溶岩、水口溶岩、乙原溶岩等の古い火山体(年代は20万年〜70万年BP)を大きく北落ちに変位させている断層崖が、由布院・堀田・朝見川と連続しており、地溝南縁を画している。崖の斜面上には崩壊や地すべりが多数生じている。また、断層崖の北側には新しい扇状地が発達しており、この扇状地も断層変位を受けている。

古い火山体や扇状地の変位からみた活動度はいずれもA級に近いB級か、A級である。今回の調査では、由布院断層で、新しい扇状地面を構成している礫層(時代未詳)を変位させている断層露頭を見出した。千田(1995)は、堀田断層で、段丘化した扇状地礫層を変位させている断層露頭を報告し、あわせて、この扇状地礫層にK−Ah火山灰が挟在されるとしている。今回の調査でも堀田断層の変位を受けている鶴見岳山頂溶岩が、小林(1984)が述べたように、歴史時代に噴出したことを示唆するデータが得られており、いずれの断層も最新活動時期はかなり新しいと判断される。これは、最近の地震活動が由布院断層付近とその延長部で堀田断層と会合する位置付近に集中していることや由布院断層付近で歴史地震が記録されていることとも整合している。

朝見川断層については、活動性に関する新たなデータは得られていないが、東方延長部の海域に東西走向で被覆層を変位させている断層の存在を示す音波探査資料を入手し、このデータを含めて断層位置について再検討した。

これらの情報をもとに、各断層についてリニアメントが横断する山麓の扇状地ないし沖積面上でトレンチ調査候補地点を選定した。