4−1−3 別府北断層系

十文字原・雛戸山・日出生断層と東西走向で南落ちのリニアメントが連続し、北側の古い火山体(西ノ台流紋岩・雛戸山溶岩・立石山火山・人見岳安山岩・高陣ヶ尾安山岩、年代は多くが70万年BP前後)を南落ちに大きく変位させ、地溝の北縁を限っている。

この断層系の内、深見ダムから寒水開拓にかけての区間は、地形・地質的にみて、現在は活動しておらず、活断層ではないと判断される。また、断層の分布・走向からみると、日出生・雛戸山の両断層は、東西性であり、その東方の十文字原断層は、北東−南西走向の断層を介して、北へオフセットし、東西性の走向でのびる。以上の2点からみて、本断層系の活動性について詳細に検討するにあたっては、十文字原・雛戸山・日出生の3断層及び前2者をつなぐ北東−南西走向の断層に分けて検討するべきであると考えられる。

断層崖の規模が大きいため(比高100〜200mオーダー)、断層崖直下では露頭オーダーで活動性についてのデータを得るのは難しいが、いくつかの露頭のデータおよび主要断層を結ぶ比較的小規模な派生断層(朸小野断層など)のデータからみると、深見ダム−寒水開拓間を除き、K−Ah火山灰以降も活動した可能性が高いと判断される。また、火山体の変位量から求めた活動度は深見ダム−寒水開拓間を除き、B級となり、総じて活動性が高いと判断される。

現時点では、閉塞谷やリニアメントを横断する小河川等の流域では、適当なトレンチ候補地は見出せていないが、火山灰の保存が期待される緩斜面上でのトレンチ調査で、活動性についてのより詳細なデータの取得が可能である。