4−1−1 調査地域北部の断層群(鹿鳴越断層以北)

緩く北方に傾斜する古い火山山体(鹿鳴越火山)の斜面とその周辺の火山麓扇状地面の上の逆向き断層崖で特徴づけられる。風隙や谷の閉塞が各所にみられ、地形的には比較的明瞭であるが、中でも唐木山断層による唐木山南西側の谷の閉塞は顕著である。この地域の東部を中心に右横ズレを示す地形がみられる。鹿鳴越断層は、最も比高の大きい断層崖をなすが、断層崖は崩壊による後退が著しい。

活動度は唐木山断層より北の断層はC級、唐木山断層以南は概ねB級である。いくつかの断層露頭を確認したが、確実にK−Ah火山灰を変位させている証拠は得られていない。ただし、活動度の高い唐木山断層以南の断層(他に常磐断層・鹿鳴越断層など)は、閉塞谷の状況からみて、K−Ah火山灰以後も活動した可能性がある。このように、唐木山断層以南の北側に比べて、より活動的であるという評価は、鹿鳴越の最近の地震活動とも整合する。

閉塞谷の堆積物に断層活動が記録されている可能性があり、相対的に活動度が高いとみられる唐木山断層でトレンチ調査を行って活動性評価を行うことにより、他の断層についてもこの断層との比較による活動性評価が可能と考えられる。