(2)活断層

本地域の活断層は、前述の各火山体の変形として認定できるが、特に坂山北方に広がる火砕流堆積物の堆積面の変位によって認定できるものが多い。既存文献資料では、本地域には北から順に、日出生・砲台山・秋山・坂山の4条の断層(いずれも南落ちで緩く北へ傾斜する斜面上では逆向き崖を成す)が認定されている。今回は、これらの断層に加え、秋山北・坂山北1・同北2の3条の断層を認定した。このうち秋山北断層のみが北落ちのセンスを有する。これらはいずれも長さ1q以下で、ほかの断層に比べて短い。これらの断層と砲台山・秋山・坂山の6条の断層については、断層自体かもしくは断層近傍での地層の変形を露頭で確認した(Loc.35〜Loc.43)。

活動性についてみると、古い火山体の変位量からみたこれらの断層の活動度は、日出生・坂山の両断層でB級の下限程度という評価ができるほかは、いずれもC級であまり高くない。

最新活動時期については、秋山・坂山北1の2断層で、断層によるK−Ah火山灰の変形が確認できた(Loc.39,40)ほか、砲台山・秋山北・坂山の3断層でも断層近傍で、断層運動によると考えられるK−Ah火山灰の変形が見出された(Loc.35,38,43)。また、秋山・坂山の両断層では、日向山付近の谷沿いの新しい地形面(崖錐もしくは沖積面)も変形しており、その点からみても最新活動時期はかなり新しいと判断される。

以上のように、本地域の断層群については、日出生断層を除き、かなり活動性が高いというデータが得られている。中でも断層の長さや変位地形の明瞭さからみると砲台山・秋山・坂山の3断層が代表的なものと考えられる。これらについては、トレンチ調査などによって詳細なデータが得られる可能性のある地点が抽出できる(Loc.36など)。また、日出生断層についても、日出生集落付近でリニアメント延長部の沖積面上でトレンチ調査を行うことで活動性の評価ができると考えられる。