(1)地形および地質

北を立石山、西を福万山、東を由布岳、南を由布院盆地に区切られた地域である。本地域には、飛岳火山の山体全域と立石山火山の山体の南部が含まれる。立石山火山は、前節で述べたように、この地域では角閃石安山岩質の溶岩を主体とするとされているが、今回の調査では、立石山火山南部の並柳牧場内で厚さ4m以上の安山岩質の石質火砕流堆積物も確認している。飛岳火山は角閃石安山岩−デイサイト質の溶岩と火砕岩を主体としている。飛岳火山の年代としては、38万年〜18万年BP(新エネルギー総合開発機構、1989,1997)という値が得られている。山体はかなり開析されているが、小規模ながら溶岩の堆積面は残存している。飛岳火山では、山体の崩壊が著しく、特に山頂西側の崩壊は大規模であり、崩壊物を西ないし南方へ「若杉岩屑なだれ堆積物」としてを流下させている。この堆積物は、Aso−4火砕流堆積物をブロックとして取り込んでいるとされており(星住ほか、1988)、堆積面は南西方向へ緩く傾斜している。

このほか、山麓には山体斜面および断層崖(後述)から供給された土砂が小扇状地をつくっており、白滝川およびその支流沿いには、断層による谷の閉塞に伴って形成されたとみられる複数の段丘面がみられる。