溶岩や火砕流の堆積面や山麓扇状地などである。最も広く分布しており、変位基準面として認定しやすい。
この面については、次のような問題がある。
・開析を受けており、原斜面の認定が難しい。地質的に堆積物を確認し、その上面として決定することも実際上は難しく、ある程度平坦性を残し、周辺の地形面と合わせると同一面として復元できると考えられる場合に変位基準面として用いた。
・このように地形面を認定した場合でも、特に古い火山の場合には、火山体の復元精度に問題があり、地形面上の段差もしくは谷をはさんだ高度差をそのまま断層による変位量とみることは難しい。
・比較的新しい火山体(20万年〜30万年BPより新しいもの)で、断層によって変位した面が接している場合でも、斜面の傾斜が大きい場合には、その後の浸食作用による地形面の変化が無視できない量に達することがある(図3−2−4参照)。
このように、地形面の変位・変形から断層を認定し、また断層の変位量を推定する方法にはいくつかの問題があり、実際の地形面判読でも求めた変位量にかなりの巾が生じた。しかしながら、地形面の年代自身に含まれる蓋然性も含めて考えれば、変位量の一次近似として、活動度(A〜C級)を区分する際の指標に用いることは可能と考えた。
A小河川により形成された平坦面
段丘や沖積面などである。日出地域では、海成段丘面も含む。調査地域内の分布はあまり広くないが、かなり上流でも認定できることがある。ただし、各河川は、断層(複数のこともある)運動や山体斜面の崩壊・地すべりによる流路の閉塞・浸食による流路の回復といった複雑な発達史を経験していることがあり、面の対比や時代決定が難しいこともある。本報告では、現在の河床面を基準に、低い方から順に、沖積面(al)、段丘面3?(tr3)、同2(tr2)、同1(tr1)におおまかに区分し、必要に応じて区分の細分や時代の推定を行ったが、時代や形成過程が不明のものもあり、この区分が通常の段丘面の年代(例えば、tr2≒下末吉面など)と対応しているとは限らない場合もある。