前述のように今年度調査は、次年度以降に詳細調査を行うにあたっての地点・方法の選定が主眼であるが、対象としている範囲が広く、断層の数が多いこと、また、従来の活断層の評価方法では評価しにくい面をもつ可能性のある断層帯であること等からみて、採取的には詳細調査終了段階で、解析・評価するべきものではあるが、2−1.節の末尾に示した以下の諸課題について今年度調査終了段階でおおよその評価を与えておくことを目指した。
@ 「別府−島原地溝」の大構造およびそのテクトニクスとの関連を念頭においた断層帯の性格の検討(地溝を形成したテクトニクスと断層の変位センスの関係、火山や基盤の構造境界と断層の位置の関係など)。
A 本断層帯を構成する陸上の活断層群と海域の活断層群の関係および大分平野に伏在すると推定されている断層の有無と本断層帯の関係についての検討。
B 個々の断層の位置・変位センス・活動履歴等からみた各断層の共通性および差異に基づく活断層のグルーピング、同じ地震活動歴を有する一つの「地震系列」(岡村ほか,1987)ないしセグメントとして評価できるかどうかについての検討。
C 主要な「地震系列」を代表する個々の断層についての地震防災上重要な新しい時代の断層活動(特に先史〜歴史時代以降の活動)の可能性についての検討。
D @〜Cの検討を踏まえた本断層帯の活断層を特徴づける活動性評価のパラメーターの設定。