2−2−2 地形地質調査

本断層帯西部の山地部では、活断層調査で通常変位基準面として用いられている段丘面等の水平に近い地形面の分布がせまく、このような地形面だけでは断層評価のための変位基準面としては十分でない。よって、溶岩流、火砕流や岩屑流によって形成された火山山麓の斜面を変位基準面として用いる必要があると考えた。

また、山地部では、分布標高の高さから見て、山麓斜面や高原地形の表層(特に

地形的凹部)には炭素同位体法による年代測定が可能な腐植土層が厚く堆積していると推定されること、小林(1984)やTakemura(1993)、竹村(1994)などの成果から判断すると、調査地全域に地層の時代決定に有効な(広域)火山灰が分布し、このような腐植土層の中には火山灰が分散されずに保存されていることが予想された。このような腐植土層や火山灰からなる被覆層は、そこにある断層活動の履歴を精度よく保存していることが期待される。

地形地質調査では、調査地のこのような特徴を踏まえ、前述した資料調査でとりまとめた各火山の形成史と、変位基準となりうる地形面や地層の年代や分布の資料を用いて、空中写真判読と地表踏査(概査・精査)により、これらの地形面や地層を区分・対比し、これをもとに断層変位地形やリニアメントを抽出・評価した。