この検討に際しては、以下の内容でとりまとめた。
@ 調査地内での活断層の形成に係わる広域的な地学的条件
・別府湾地溝や由布院地溝などの構造・形成機構や、中央構造線の活動に関する既存の研究およびこれに関連した地球物理学的・地球科学的資料(測地学的データ・重力・地磁気・地殻熱流量・温泉など)調査地域の地質的大構造とそのテクトニクスについての研究成果。
・調査地内で観測された地震についての資料(震源・発震機構・マグニチュード等についてまとめ、活断層との関係)。
・調査地内の火山層序・火山噴出物の年代値および火山形成史。
・地形地質調査に有効とみられる基礎的な地形・地質情報(火山層序や火山山体斜面の形成年代・広域火山灰の分布・断層露頭の位置図・写真・スケッチなどの資料)。
A 調査地内での活断層の研究史、個々の活断層の位置・長さ・性状・活動性についての既存資料での評価とその根拠
九州活構造研究会(1989)、活断層研究会(1991)の資料の整理。
B 海域部の活断層についての、既存の音波探査や海上ボーリングなどの資料の収集
・断層の評価についての整理、陸域の断層との関係についての検討。
・学術的調査で活断層が密集していることが知られている別府湾の中央や北半部のみでなく、各種地盤調査資料が存在すると期待される陸域に近い港湾・道路等の施設の近傍についての資料の収集・整理。
※@〜Bの結果は、文献リスト・文献資料の要約としてまとめた。
C 既存ボーリング資料に基づく平野部の断層についての評価
調査地東部の大分市街地には、沖積低地が拡がっており、人工改変が著しく、一部の山麓地域を除き、地形の情報から断層を評価することは難しいと考えられた。よって、これらの地域については、既存のボーリング資料によって断層推定位置付近の地質分布・地質構造を把握し、断層の有無や位置および活動性を評価した。
※調査成果は、ボーリング位置図・柱状図リスト・地質断面図・変位基準面深度の等標高線図、等として整理した。