松田(1990)では、近接する活断層を起震断層に区分するにあたって、活断層相互の間隔が5km以内であるかどうかを基準としている。この基準に照らすと、別府−万年山断層帯西部地域の断層は、すべて一連の断層としてみても差し支えないことになる。しかしながら、上記のように、一部の例外はあるものの、変位の向きが、地溝北部の断層と南部の断層で明瞭に異なる。また、平成13年度までの東部地域の調査では、東西方向の断層の連続性を重視した断層帯の区分(おおむね上の「5kmルール」にも違反しない)が活動性の面での区分とも明瞭に対応していることが解明されている。
このような点をふまえ、今回の調査地域の断層群を区分するにあたっても、東西方向の断層の連続性を重視した区分を行うこととした。このような考え方にもとづく、本地域の断層区分を、以下にまとめる(図8−1−2)。この区分をもとに、断層の活動性について検討した。
崩平山−万年山地溝北縁断層帯:地溝北部の主に南落ちの断層群。長さ33.5km。
野稲岳地域
万年山地溝北縁 −(町田牧場付近)− 崩平山北側斜面−扇山地域
(万年山地域主部を含む)
断層の走向 東−西〜北西−南東 東−西 北東−南西〜東−西〜北西−南東
崩平山−崩平山地溝南縁断層帯:地溝南部の主に北落ちの断層群。長さ29.3km
万年山地溝南縁 − − 崩平山南側斜面−千町無田
(涌蓋山地域)
断層の走向 北北西−南南東 東−西〜北東−南西