5 調査結果のまとめ

4章に述べた調査結果をもとにまとめた各断層の概略評価を表5−1表5−2表5−3表5−4表5−6に示す。調査地域全体について活断層の概略の活動性を評価すると次のようになる。

・調査地域を東部の崩平山地域と西部の万年山地域に分けて考えた場合、東部地域では、K−Ah火山灰層以後の新しい時代にも断層活動が生じており、大分県中部地震もその現われとみることができるようである。

・東部地域の中でも北部の野稲岳付近では、K−Ah火山灰層以後の断層活動は確認されておらず、南部の崩平山付近の方が、活動性が高い可能性がある。

・一方、西部地域の断層では、完新世に活動した証拠は得られておらず、東部地域に比べて全体に活動性が低いと考えられる。

・西部地域の中でも、北縁と南縁の断層は、Aso−4火砕流以後に活動したと考えられるが、その他の断層では、Aso−4火砕流以後の断層活動を示唆するデータは得られておらず、北縁と南縁の断層に比べて、さらに活動性は低いと推定される。

・現時点で得られているデータからみると、このように活動性の低い西部地域の範囲には、菅原−麻生釣地域から町田牧場地域まで含められると思われる。

・地蔵原地域の断層は、比較的新しい山麓扇状地を変位させており、今回実施した露頭剥ぎによって、K−Ah火山灰層以後にも断層活動が生じていることが確認され、かなり活動性の高い地域と考えられるが、地形的な特徴からみて、上の2地域とは別の地溝を形成していると考えられる。

表5−1 断層評価一覧表((野稲岳−崩平山地域:1)

表5−2 断層評価一覧表(野稲岳−崩平山地域:2)

表5−3 断層評価一覧表(町田牧場地域)

表5−4 断層評価一覧表(地蔵原地域)

表5−5 断層評価一覧表(万年山地域)

表5−6 断層評価一覧表(麻生釣−菅原地域)