4−2−7 麻生釣−菅原地域

いずれも町田川の最上流部に位置し、緩斜面が広がっている地域であり、万年山地域の地溝南縁を限る断層の東方延長部にあたる。麻生釣付近の緩斜面については、地表踏査によりAso−4火砕流の堆積面であることが確認された。菅原付近の平坦面も、同様にAso−4火砕流堆積物の堆積面であるか、その開析された面であることが考えられる。

麻生釣地区では、Aso−4から成る南傾斜の緩斜面上に北落ちの段差がみられ、この段差を南の端とするグラーベン構造が西北西−東南東方向に連続している(吉武山断層;図4−2−46)。このグラーベン構造の東方延長部で北落ちの変位を示す断層露頭が見出された。この露頭では、吉武山断層の活動で、Aso−4火砕流(鳥栖オレンジ火砕流)堆積物が3〜4m変位しているが、最新の活動は、AT火山灰層の堆積前後であり、それ以後には断層活動は生じていないと判断される(図4−2−47)。

菅原地区では、沢沿いの平坦面より高い地形面に断層崖が認められるが、平坦面上には、断層活動を示す明瞭な変位地形は確認できない(図4−2−48)。菅原1、菅原2断層を横断する測線で実施した反射法弾性波探査でも、明らかに断層運動によるとみられる地層の変形は確認できていない(図4−2−49)。また、上記の平坦面の一部では、直下にAso−4火砕流堆積物が出現している。このようなデータからみると、この付近では、Aso−4以後の新しい時代の断層活動は生じていない可能性が高いと考えられる。