(4)南縁の断層

万年山地溝の南縁は、亀石山断層で限られる。中園付近では、断層を挟む地質分布の不連続からみて、この断層により、耶馬溪火砕流堆積物が約150m北落ちに変位していると推定される(図4−2−45、前出の図4−2−39も参照)。開析が著しいため、この付近では、新しい時代の断層活動の情報が得られる可能性は小さい。

亀石山断層の東方延長部にあたる宇土谷付近では、断層のリニアメント位置を挟んで下流(南)側では、Aso−4火砕流堆積物が構成していると考えられる面の高度が、上流(北)側より高くなっている(図4−2−46−1図4−2−46−2)。一手野−万年山断層と同様に、これは、南上りの断層活動によって生じた変位である可能性が考えられる。一方、この断層より北側の亀石山北断層の両側では、Aso−4火砕流堆積物の分布の明瞭な不連続はみられず、この断層は、Aso−4以後には活動していない可能性が高い。

以上の結果をまとめると、、万年山地域では、地溝北縁の一手野−万年山断層や地溝南縁の亀石山断層は、他の断層に比べて相対的に活動性が高いと考えられる。これらの断層では、Aso−4以後に断層活動が生じている可能性があるが、トレンチ結果からみて、あまり新しい時代(低位段丘の形成以後;数万年前以後?)には断層活動は生じていないようである。その他の断層は、Aso−4以後は活動していない可能性が高い。