(1)野稲岳−崩平山地域

野稲岳、鹿伏岳と崩平山のそれぞれの火山体斜面に斜面と逆向きの変位を示す断層崖が認められる。断層の走向は、西北西−東南東から東西ないし東北東−西南西で、各火山の山頂付近を中心に北側斜面では北に凸、南側斜面では南に凸の形態を示す。北部では南落ち、南部では北落ちが卓越しており、全体として地溝状の形態を示す(崩平山地溝)が、野稲岳付近が別の小地溝を形成しているようにもみえる。個々の断層の長さは、最大でも5km以下である。地溝全体の長さとしても6km程度である。

山下池付近の断層の東南方延長が直野内山付近まで延びるとすると、長さは10km程度である。また、鹿伏岳付近の断層が西方の町田牧場付近まで延びる可能性も考えられなくはないが、いずれも地形表現は明瞭ではない。