(1)反射法弾性波探査(極浅層探査)の実施方法

1)探査法の原理

反射法地震探査は、地表にて人工的に発生された地震波が地下深部に伝播し、地下の反射面(音響インピーダンスの異なる境界)で反射されて再び地表に戻ってくるという現象を利用し、地下構造を断面像として描き出す手法である。

2)探査諸元

探査の諸元は、原則として次の通りとする。

・振源:バイブレーター型震源(S波ポータブルバイブレータ)

・起振点間隔:1m

・総起振点数:約600

・受振器:速度型地震計

・受振点間隔:1m

・データ収録器:DAS−1

3)観測作業

極浅層反射法探査の観測に先立って測量を実施する。測量では、測線を設定し、受振点間隔が 1m(以下)となるよう受振点位置の測量を行い、 杭の敷設またはマーキングを行う。

反射法探査の観測では、以下に述べる受振器・ケーブルの設置作業、発震作業、データ収録作業を全測線にわたって繰り返し行う。図−a(図3−3)に極浅層反射法探査の観測作業の概要を示す。また表−b(表3−2)に使用機器の一覧を示す。

・受振器・ケーブルの設置

測量で設定した各受振点に受振器を設置する。次に受振器とデータ収録器を専用ケーブル(CDPケーブル)で接続する。また、本部からの発震命令、バイブレータのモニター波形を伝えるための専用ケーブルも震源と本部の間に設置する。

・発震作業

起振板または板ポータブルバイブレータの底が測量で設定した発震点位置となるようにポータブルバイブレータを移動する。本部からの発震命令信号を受け、発震する。

・データ収録

観測本部では、発震点位置に応じて受振する 点の受振器を選択し、設定を行う。発震点の準備ができたら、受振点におけるノイズ状況をモニターする。そして、比較的ノイズの小さい時に発震命令信号を震源へ伝える。発震開始と同時にデータ収録器が各受振器からのデータおよびバイブレータのモニター波形を収録する。同様に同一発震点において、2〜10回以上の記録を収録・保存した後、各受振器の波形記録とバイブレータのモニター波形との相互相関処理計算を行う(バイブレータ震源の場合)。観測者は、この相互相関処理結果をより、データの良否を判断する。結果が良好であれば、データを保存し、発震点へは次の点へ移動するよう指示をする。

4)解析方法

観測時で得られた記録中には、通過する車両や構造物の中の大きな機械より発する振動等のノイズや、電磁波によるノイズ、また屈折波や表面波といった発震に伴うノイズ(コヒーレントノイズ)等さまざまなノイズが含まれている。反射法の解析処理の主な目的は、これらのノイズを多く含んだデータから必要な反射波だけを抽出することである。

現場でハードディスクに収録した各発震毎のデジタル記録は、ワークステーション(SUN Ultra)に転送し、反射法探査解析システムProMAX(LandMark社製)を用いて処理を行う。図−c(図3−4)に解析処理のフローチャートを示す。

解析結果は、測線図、時間断面図、マイグレーション後時間断面図、深度断面図、マイグレーション後深度断面図として整理する。