最上部のA1層は沿岸部から沖合に乱れた堆積構造を示す。
A2層は、内部反射が非常に弱い反射パターンを示し、層内には東部海域で2つの反射面が連続して確認される。また、大分港より西側の海域では、これら2つの反射面の上位にもう1つ連続した反射面が確認され、これらのA2層内部の連続した反射面を上位よりR−1、R−2、R−3とする。
B層は水平に連続した線状のパターンを示す。
C層は所によって回折波が卓越する所があるが、おおむね波状の反射パターンを示す。
D層は、水深50m以深の沖合で確認される最下位層で、この音源の沖合部での音響基盤層である。
E層は、沿岸部だけで確認される音響基盤層、一部で沖合に傾斜した内部層理の反射パターンが確認される(N−6〜N13測線)。高崎山直下の沿岸部では、この内部反射波がみられない(N−14)。
以上のようなことから、各層準の地層は以下のようなものと考えられる。
A1層は沿岸部に厚く、沖合で消滅することから現海水準における扇状地を形成する堆積層と考えられる。またA2層は、深度的に既存のピストンコアリング試料にみられるシルト層および砂層に対比できると考えられる。その内部のR−3反射面は、ソノプローブ音波探査結果やピストンコアリングで確認されているアカホヤ火山灰層に対比できるものと考えられる(岡村ほか、1992)。B、C層、D層は、アカホヤ堆積以前の層準で砂・泥質層を主体とするものと考えられる。
また、E層は、大分港より西側沿岸部の水深の浅い部分だけに確認され、陸域の地層の分布から大分層群、もしくは段丘相当層にあたると見られるが、内部反射が傾斜していることから大分層群に対比できる可能性が大きいと考える。また、高崎山直下のE層は、安山岩に対比できる。図3−7に探査海域の地質構造図を示す。
図3−4 音波探査記録の反射面とそれに対比される地質層序