3−1−1 既往資料の調査

別府湾の海底には,音波探査等によりいくつかの断層が認められ(森山・日高,1981;島崎ほか,1986;岡村ほか,1996、島崎ほか,2000),別府湾海底断層群(活断層研究会,1991)として一括されている.断層群は,湾の北岸の日出町深江沖から南岸の大野川河口沖にかけて延びる別府湾中央断層(島崎ほか,1990)と,これに平行ないしやや斜交するいくつかの断層で構成される.それぞれの断層は,湾の中央部から北部にかけてを,やや湾曲しながらほば東西方向に延びる(図3−1)。湾の南縁部には陸上の朝見川断層の東方延長が存在することが推測されるが,森山・日高(1981)による探査では,大分港沖の1地点以外に,断層は確認されていない.森山・日高(1981)はこの断層について,南側丘陵内の祓川に沿う断層に連続すると推定しているが,断層は1測線で確認されているのみで,その走向は不明である.

図3−1 別府湾内の海底活断層及びその周辺の断層(海底断層は島崎ほか,1990及び岡村ほか,1996による)

また、森山・日高(1981)によれば、高崎山沖合いの広範囲に音波散乱層(地層内を音波が透過しない層)が分布していることが報告されている。この海域については、岡村、島崎によるソノプローブ音波探査の記録にも同様な探査不能層が記録されている。