起震を行う場合には,まず車体中央のプレートを地面に下ろし,これに車重の大部分(約13トン)をかけて地面に圧着する。この際,車体とプレートの間にはエア・ダンパーを挟んでいるため,鉛直な上載圧は加わるが震動は遮断される。
次に,プレート上のアクチュエイターでカウンターマス(3トン)を上下に揺すると,その反力がプレートを介して地面に伝わり地盤を震動させる。
使用したバイブレーターの諸元を次に示す。
・起震可能周波数範囲 4〜250Hz
・全長 8.16m
・全幅 2.46m
・全高 3.4m
・重量 17.7ton
バイブレーターを用いた探査(バイブロサイス)の原理は次の通りである。
a.バイブレーターで低い周波数から高い周波数まで徐々に周波数が遷移(スウィープ)する波形で起震する(図3−@)。なお発生する波の振幅は,速度振幅が一定となるように再帰的に制御する。
b.反射波は図3−B〜Dに示すように,ダイナマイトなどのパルス震源と異なり,震源波形(@)の初動時刻・振幅・位相をずらした波形となる。したがって観測波形は図3− Aに示すように,これらを重ね合わせた複雑な波形となる。
c.観測終了後,震源波形(@)と観測波形(A)の相互相関関数を計算する。この結果は図3− Eに示すように,ダイナマイトなどのパルス震源と等価な記録となる。
バイブロサイスの特徴としては,以下の点が上げられる。
a.起震エネルギーが大きく,深度3000m以上の探査が可能である。
b.低い出力のエネルギーを継続して出す震源機構のため,環境への影響が少ない。
c.起震周波数範囲を選択できるため,所望の周波数帯域の観測が可能である。
d.可搬性に優れており,作業効率が高い。ただし,やや車両のサイズが大きい(L=8.16m, W=2.45m)ため,進入できる道路が限られるのが問題である。