(2)断層の形態・変位センス

この「伏在活断層」の形態を今回調査及び既往ボーリング資料をもとにまとめると次のようになる。

・構造の不連続部を挟んで沖積層中の地層境界の深度は、いずれも大局的に北側へ落ちている。K−Ah火山灰を基準としてみた変位量は、10〜12m程度である(図3−5−4.〜図3−5−6.図3−5−11.参照)。

・明瞭な断層面を有する構造としては確認されていない。このため面構造としての走向・傾斜は確定できないが、大局的な走向は、上記のようにN70°〜75°Wである。

・近接したボーリング(10〜20m間隔)でのK−Ah火山灰の分布形態をみると、不連続部付近の落ち側(北側)では南落ちのドラッグを、上り側(南側)では北側落ちのドラッグを示す。

・現段階では主たる断層の存在が確認できていないため、断面図では、この構造を撓曲構造のように表記しているが、このようなドラッグの形態をより詳細に検討すると、主として、K−Ah火山灰の分布程度が最も落ち込む部分の両側のボーリング孔(bP孔、bR孔)のコアに小断層がみられることから、鉛直断面でみると、落ち側にグラーベン構造を有する正断層的な構造である可能性がある(後述)。

・また、このようなドラッグの形態は、別府湾中央断層系付近の地層のドラッグによく似ている(図3−5−12.参照)。別府湾中央断層系が、それを構成する個々の断層の雁交配列の形態から右横ずれによって形成されたと考えられていることは、「府内断層」の性格についても示唆を与えるものと思われる。