(1)断層の位置

平成10年度調査で、春日神社西方から府内城北端付近を通り、舞鶴橋西詰南方に至る西北西―東南東方向の沖積層中の構造の不連続部が確認された(図3−5−1.参照)。この部分を境に、K−Ah火山灰の分布深度が急激に10m程度北側へ落ちている。この構造を伏在活断層と判断した。ボーリング資料の疎密の影響はあるが、最も狭いところでは、100m以下の範囲でこの位置が押さえられる。

今回のボーリング調査に先立ち、平成10年度に収集した既往ボーリング資料を再解析したところ、このような構造の性格及び位置が、より明瞭になった(図3−5−2.〜図3−5−7.参照)。

古地理及び微地形でみると、この北落ちの断層の推定位置は、府内城築城前には入り江となっていた部分の陸側境界付近にあたり(図3−5−8.参照)、現在の地形でみても、この位置を境に北東側の地表が凹地状に下がっている(図3−5−9.参照)。

今回の調査では、府内城東方の南北方向の測線上で群列ボーリングを行い、この断層の位置を既往ボーリング資料の見直しも加えて、より詳細に検討した(図3−5−10.〜図3−5−11.参照)。

府内城付近では県機動隊本部跡地で南側に沖積層中に大きな構造的不連続があり、市消防局の方向へ延びる。この付近では50〜100m程度の幅で構造的不連続部の位置が判明している。この断層と推定される不連続構造の延びの方向はN70〜75°Wであり、大分市内での大局的傾向とも一致する。

また、この構造を東方へ延ばすと、舞鶴橋西詰め南方に到る。この位置は、今回別途実施された反射法探査で北傾斜の断層が確認された位置にほぼ一致する。