(1) 調査に先立って、土地所有者から掘削の承認を得、監督員の確認を受けた。
(2) トレンチの掘削
トレンチは、(大)を2箇所、(小)が11箇所である。トレンチの形状や深さ、掘削面の勾配、排水仮設などの詳細は、調査目的と地盤強度からみた掘削面の安定性や地下水の状況、用地条件等を考慮して決定し、調査作業中の安全が確保できるように設定した。
掘削に際して発生する土砂や湧水などに対しては、周辺環境に悪影響を及ぼさないように充分配慮して、仮置きや排水処理を行った。
(3) 掘削面の地質観察
トレンチ掘削面の地質観察等は、以下の要領で行った。
・掘削面を詳細に観察し、縮尺1/20程度のスケッチ図として記録し、掘削面やトレンチ毎にまとめた。所定の縮尺が表現できない微細な地質構造等については、より大縮尺のスケッチも行った。
・スケッチには、所定の縮尺で表現できる最小程度の地層単元まで区分して表現し、地層の構成物、堆積構造、含まれる動植物の遺体(化石)や考古遺物、変形構造、断層や亀裂、風化程度、色調などについて表現した。
・また、層理面や不整合面と断層の切り合いないし被覆の関係、層準による変形程度の違い、地層の層相変化などをもとに、断層活動の生じた層準を特定し、その位置をスケッチに表現した。
・スケッチ記録や資料分析結果をもとに、地層の年代や断層活動の層準を書き入れた解釈図を作成した。
・観察した掘削面について、スケッチ図に対応したカラー写真の撮影を行った。
(4) 分析用資料採取
地質観察結果をもとに、地層の対比や断層活動の時代を決定するのに有効な、次のような試料を選定し、トレンチ掘削面から採取した。
・14C年代測定用試料:動植物遺体(化石)、腐敗土など
・テフラ試料:トレンチ内で発見された火山灰・軽石・スコリア・火砕流など
・考古遺物:トレンチ内で発見されたすべての遺物
・その他必要と考えられる試料
採取した試料は直ちに密封し、汚染・混合・変質等を防ぐ措置を施した上で、分析に供した。
(5) 測 量
トレンチ付近の地盤や掘削面底盤の標高を三等水準測量程度の精度で測量した。また、トレンチ及び周辺部の平板測量を行い、水準測量結果とあわせて、平面図(縮尺1/100ないし1/200程度)及びトレンチ位置図を作成した。特に断層変位地形との関係を図示した。
(6) トレンチの埋め戻し
調査終了後は、トレンチ掘削部を埋め戻し、原形に復旧した。埋め戻しは用土を充分に転圧・締め固めしながら行った。用土が不足する場合は、不足を補充し、埋め戻し終了後に地盤の沈下や変形が生じないようにした。埋め戻し終了後、地盤が充分に安定したことを確認し、監督員の確認を得た上で、土地所有者から復旧完了の承認を得た。