(1)別府地溝南縁断層帯の東方延長部の確認と活動性の把握、海域の大在沖断層群や別府湾断層帯との関係の把握(大分市東部地域の調査)
(2)別府地溝南縁断層帯、別府地溝北縁断層帯の西方延長部の確認と活動性の把握(崩平・万年山地域などの調査)
(3)中央構造線活断層系との関係の把握
(4)断層帯の深部構造の把握をそれにもとづく地震発生機構の解明
○別府地溝南縁断層帯
湯布院町から別府市にかけて調査地域の南の端付近に分布する、由布院断層と堀田―朝見川断層、大分市内の沖積層下に伏在している府内断層から成る断層帯。
K−Ah火山灰以後、現在までに10〜30m程度北落ちに変位している。長さは、調査地域内で約29km。
府内断層では、最新活動時期は2,300年前頃(歴年代、以下同様)で、活動間隔が、1,100年〜3,300年。由布院・堀田−朝見川断層では、最新の活動時期は約2,000年前より後で、活動間隔は、1,000年〜2,000年程度と推定される。1回の活動における上下方向の変位量は、府内断層で4〜6mで、由布院・堀田−朝見川断層で、数m程度(1m以上)と推定される。
○別府地溝北縁断層帯
「別府地溝南縁断層帯」以外の陸域の断層群の総称。
K−Ah火山灰以後に活動した断層とそうでない断層が混在する。K−Ah火山灰以後の上下方向変位量は、最大で3m程度、一般に1m以下。長さは、調査地域内で約28km。
最新活動時期は、最も新しいものでは約2,000年BPより後、古いものでは、Aso−4火砕流堆積物(7万年〜9万年BP)以後活動していない。活動間隔は、短いものでは3,000年〜4,000年程度、長いものでは1万年〜数万年以上。1回の活動における上下方向変位量は、わかっているもので0.3〜2m程度。
○別府湾断層帯
別府湾中央断層を中心とする、日出沖断層群などの別府湾海域の断層群の総称。
ほとんどがK−Ah火山灰以後に活動している。K−Ah火山灰以後の上下方向変位量は、数m程度で、最大では40m以上に達する。長さは、調査地域内で約31km。
主な断層では、最新の活動は、西暦1,596年の慶長豊後地震にほぼ一致しており(14C歴年代で100〜500年前頃)、この地震の際に活動したと判断される。活動間隔は、1,200年〜3,100年です。1回の活動における上下方向変位量は、小さいもので2m以下、最大では10m以上と推定される。