〇府内城測線
ボーリングとジオスライサー調査で断層を追跡して次のような結果を得た。
・ボーリング調査結果
今回の調査では、昨年度に引き続き、ボーリング(No.8〜13)を追加実施した。平成11年度調査結果に加えて、新たに得られた断層に関する情報は、次の通りである(図5−2−11)。
a.No.8孔とNo.10孔の間で、断層が表層付近まで延びている。
b.上部砂礫層まで断層変位を受けている可能性が高い
c.最上部泥層は、全体的にほぼフラットな分布を示すが、No.8〜No.10付近で下限の形態がやや凹凸である。これが、断層変位によるものがどうかは、別途確認が必要と判断した。
・ジオスライサー調査結果
最上部泥層堆積以後にも断層活動が生じているかどうかを確認するために、断層が延びてくると推定した位置を挟む、ボーリングNo.8〜No.10付近で、ジオスライサー調査を実施した。
その結果、断層を推定したNo.8〜No.10付近では、最上部泥層下限の標高は変化していないことが確認できた。ボーリング調査で判明している周辺での地層分布と合せて考えると、最上部泥層は、断層変位は受けていないと判断された(図5−2−12)。
〇大分川左岸測線
No.1孔で、上部砂礫層中の泥層が、断層変位を受けていることから、この泥層以後に断層活動イベントが生じたと推定される。この泥層の試料は、補正年代2,390(暦年代2,360)年BP、2,240(2,320)年BPの年代値を示すことからみて、ここに記録されたイベントの時期は、2,300年BP頃より後と判断される(図5−2−13左の図)。これは、このほか、No.1孔のK−Ah火山灰層直上の他ではみられない砂層が存在することも、K−Ah火山灰降下直後の断層活動に伴う現象である可能性があるが地震以外のイベントを示すものである可能性も考えられるため、確実とはいえない(図5−2−13右の図)。