層相区分をもとに、府内城測線で変位基準面として認定した対比線を図5−2−10に示す。ここでは、E下部砂層とD中部泥層の境界、D中部泥層とC上部砂層の境界のように漸移的に上方粗粒化ないし上方細粒化する層相境界を変位基準面としては選定していない。
また、K−Ah火山灰層については、上限境界は漸移的で、きわめてあいまいなものとなるため、下限面のみを基準面として採用した(次節の補論を参照)。
なお、E下部砂層とF下部砂礫層の境界は明瞭な境界面ではあるが、これは、海進に伴って沖側から順に形成されてきたいわゆるラビンメント面であり、同時間面としての条件に合わないため採用しないこととした。
大分川左岸測線と芸術会館測線については図5−2−3,図5−2−4の地層対比図中の対比面のうち、上記の基準に合致するものを変位基準面として採用した。
これらの変位基準面に、後述する貝化石層から設定した変位基準面を加えて、断層の活動時期と変位量を決定した。