平成10年度以降に実施した既往ボーリング試料の調査で、大分川右岸(東岸)以来のいくつかの地点で沖積層中の不連続構造が抽出されているが、いずれも連続性に乏しく、確実に断層と判断することは難しい。しかしながら、この地域は、中央構造線と「別府湾南岸断層」の構造が会合する場所であり、「別府湾南岸断層」(大分川西方の伏在断層)の東方延長、この断層と中央構造線の関係の把握は、断層評価上で重要な問題であると考えられた。
今回は、既往のボーリング資料の解析によって抽出された、代表的な沖積層中の不連続構造の場所として、県立芸術会館付近で調査を実施することとした※。
しかしながら、芸術会館の建物周辺は、裏川を埋め立てた地盤であるため、地盤表層部には、粗い礫や建築廃棄物が含まれ、地質調査には不向きと予想された。したがって、調査測線は、裏川をはさむ芸術会館西側の国際公園に沿って設定した。この位置ならば、表層には、後背湿地の細粒な堆積物が分布し、精度の高い情報が得られる可能性があると推定した。