3−2−2 ジオスライサー調査(地層抜き取り調査)

この調査は、広島大学の中田 高教授の考案になる、地中から板状の不撹乱地質試料を採取する方法である。今回の調査では、断層が地表付近まで延びてくると予想された、府内城測線のNo.8−No.10孔間で、最上部泥層が断層による変形を受けているかどうかを確認するために実施した。

調査概要を図3−2−3に示す。本調査では、図に示すようなステンレス製の薄い箱型装置を地盤内に打ち込み、それを引き抜くことによって、地層を乱さずに採取した。

抜き取り装置の大きさは、用途によって様々であるが、今回は、次のようなサンプラーを用いた。

Aタイプ:幅1.2m×高さ2m×厚さ0.1〜0.2m

Bタイプ:幅0.4m×高さ4m×厚さ0.1〜0.2m

また、以前のボーリング調査で、調査地点の表層1.5〜1.8mは、帯輪(おびぐるわ)建設時の盛土からなっていることがわかっており、地質構造に関する情報はこの範囲からは得られないと判断されたので、この部分をバックホーで掘削除去した深度から地層

抜き取り作業を行った。

<作業手順>

(1) 表層盛土の掘削除去:教育委員会担当の立会いのもとで、遺物に注意しながら、              表層の盛土部を、幅0.4m程度、延長4〜5mの範囲で、深さ1.5〜1.8mまで掘削した。掘削土砂は、近傍に仮置きし、ブルーシートで養生した。

(2) 地層抜き取り:バイブロハンマーを用いて、サンプラーを打ち込んだ。次にサンプラーの溝に沿わせてシャッターを差込み、試料が落下しないようにして、クレーンやジャッキでサンプラーを引きぬいた。得られた試料は、サンプラーに収めた状態で公園外に搬出し、地層の観察・記録を行なった。

(3) 埋め戻し:抜き取り後の穴は、掘削土砂や置き換え土で速やかに埋め戻した。