(2)イベント層準の認定

亀川沖西断層

亀川沖西断層では、BEP00−11、BEP00−02、BEP00−05及びBEP00−03のコア試料を用いて対比作業を行い、その結果15枚の対比面を認定した。これを元に断層のイベント層準として3つの層準を認めた(灰色のゾーンとして図中に示した部分)。

G−4火山灰層とE火山灰層の間のイベントは、年代測定値が得られていない為詳細な活動時期は不明だが、これまでの調査結果からみてアカホヤ層(K−Ah)の上位の堆積速度が速くなる傾向があることから、およそ6000−6500BP程度と考えられる。C火山灰層とbrown(L)間のイベントは、年代測定結果から4300〜5130BPにイベント時期が求められる(※C〜B間およびA〜brown(L)の間の2回のイベントの可能性もあり)。YF−1と緑色の火山灰層との間は年代測定結果から2200−2500BPに活動したものと考えられる。

なお、音波探査結果との対比の結果から、亀川沖西断層のコア試料は海底の最表層部の底質が採取されていないものとみられる。この為、他の地点でみられたような600〜900BP前後の最新イベントの有無が確認できない状態である。

西中央断層

西中央断層では、BEP00−10とBEP00−8のコア試料と記調査資料であるBEP95−07を用いて対比作業を行い、その結果8枚の対比面を認定した。これを元に断層のイベント層準として1つの層準を認めた(灰色のゾーンとして図中に示した部分)。イベント層準はYf−1の上位で、変化はちいさいものの、音波探査記録からも断層活動があったことが読み取れる部分である。年代測定結果が出そろっていない為詳細なイベント時期は特定できていないが、2100〜2500BP付近に活動したものとみられる。

東中央断層の上部イベント層準に相当する部分が不明瞭だが、最上位の火山灰層(水色線で表示)から上の堆積物の厚みに違いが生じていることから、断層の活動は存在した可能性が高い。詳細なイベント時期は不明だが、年代測定結果から考えて600〜800BP程度にイベントが存在するものと推定される。

東中央断層

東中央断層では、BEP00−14とBEP00−15のコア試料と記調査資料であるBEP95−03とBEEP95−04を用いて対比作業を行い、その結果13枚の対比面を認定した。これを元に断層のイベント層準として2つの層準を認めた(灰色のゾーンとして図中に示した部分)。

特に明瞭なイベントはbrown/sとYf−1の間のもので、00−14にみられる1320cmの火山灰層が00−15のbrown(s)とYf−1の間で消滅している。これは断層崖の形成後、相対的隆起側である00−15の堆積物が削剥された可能性を示唆するものと考えられる。Yf−1とscoria下のブルー層準との間に見られる層厚の差も、継続した断層崖の埋め戻しによるものとみることができる。年代測定値から考えて、このイベントの時期は、おそらく1320cmの火山灰層(紫のライン)とYf−1の間で2500BP(Yf−1)から3240BPの間と考えられる。

また、上部のイベント層準は、火山灰層のような明瞭な対比面をもたない為詳細なイベント時期は特定しにくいが、概ね700−900BP程度にあるものと考えられる。

図3−8−1 亀川沖西断層 コアリング試料堆積物分析結果一覧

図3−8−2 西中央断層 コアリング試料堆積物分析結果一覧

図3−8−3 東中央断層 コアリング試料堆積物分析結果一覧

図3−8−4 大在沖断層群 コアリング試料堆積物分析結果一覧